[ワシントン 29日 ロイター] – 米ワシントン州の保健当局は29日、同州で新型コロナウイルスに感染した50代の男性が死亡したと発表した。男性は感染前から基礎疾患を抱えていたという。米国で新型ウイルス感染者が死亡したのは初めて。 

ワシントン州保健当局の伝染性疾患部門責任者は、男性がシアトル近郊カークランドの病院で死亡し、ウイルスの感染経路は明らかになっていないと述べた。このほか、カークランドの長期療養施設で、新型コロナウイルスとみられる感染例が2人確認されており、50人以上の入居者と職員にも広がる可能性がでている。 

ワシントン州のインスリー知事は声明で「住民の安全を確保し情報提供を続けるため、準備体制と対応への取り組みを強化している」と述べた。 

米国で新型コロナウイルス感染が確認されたのは60人以上で、大半は中国からの帰国者。ただ公衆衛生当局者は、カリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州で、中国と直接つながりのないウイルスの症例が確認されたとしており、米国での感染拡大を食い止めるために必要な戦略が転換点を迎える可能性を示唆している。 

ペロシ米下院議長は「この公衆衛生危機の規模と深刻さに十分に対応する強力な緊急支援を推進するため」、議員らがコロナウイルス関連歳出法案を来週提出すると述べた。 

またトランプ米大統領と米保健当局は29日、イタリア、韓国、イランから米国に入国する旅行者への新たな制限措置を発表した。 

米国で新型ウイルス対策の責任者に任命されているペンス副大統領は、韓国とイタリアでコロナウイルス感染が広がっている地域への渡航について、警戒レベルを「渡航中止」(レベル4)に引き上げた、と明らかにした。 

ペンス氏は、米国がイタリアと韓国と連携し、米国入国を計画している渡航者の検査に取り組むと表明。また、イランからの渡航者に対する現行の制限について、同国を過去14日以内に訪問したすべての外国人渡航者も対象に含めると述べた。中国から米国へのすべての渡航を停止するというトランプ大統領による前例のない対応が、コロナウイルスによる米国民への脅威が依然として低い理由の一つだとの見解を示した。 

米当局者は、米国民は国内の移動は制限すべきではないが、韓国とイタリアでコロナウイルス感染が広がっている地域への渡航は警戒すべきと指摘した。