[ニューヨーク 30日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場ではドルが下落。ただ日中は前日終値をはさみ一進一退となった。米金融当局者の公聴会での証言で弱気な発言が乏しかった一方、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は国内の新型コロナウイルス流行に関する厳しい見通しを示した。

 ドルはユーロや円に対して上昇したが、ポンドやスイスフランのほか、豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドルなどのコモディティー通貨に対して売られた。

  ムニューシン長官は30日、中小企業支援制度(給与保障プログラム、PPP)の融資枠のうち残り最大1400億ドル相当の資金について、飲食や宿泊など新型コロナ禍による打撃がもっと大きい業種への支援に再活用できると指摘。パウエル議長は、米経済見通しに「著しい不確実性」が存在し、今後の動向は新型コロナの制御と景気回復を後押しする政府の取り組みにかかっているとの見解を示した。

  一方、ファウチ所長は同日、安全で有効な新型コロナワクチンが得られる保証はないと警告。さらに国民が一丸となって感染防止に取り組まない場合、一日の感染者数は2倍以上に膨らむ恐れもあると指摘した。

 ドル指数は午後序盤の取引で97.380まで下落。四半期では1.6%、月間では約1.0%の下げとなった。月間の下落率は昨年12月以来の大きさだった。

  バノックバーン・フォレックスのチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「ドルの上昇は6月10日から始まっており、もう一段の上昇が期待できる」と指摘。きょうでPPPが終了するなど7月に入れば不確実性がやや高まると述べた。

 米国では新型コロナの感染第2波も懸念されている。28日終了週の新規感染者数は前の週から46%増加。21州でのコロナ検査の陽性率は世界保健機関(WHO)が懸念する水準を上回った。

 ドルは対円で0.3%高の107.93円。ユーロは1.1234ドルに下落。欧州連合(EU)統計局が30日発表したユーロ圏の6月のコア消費者物価指数が前年比1.1%上昇と5月の1.2%から減速した。ただ、ユーロは四半期で1.6%上昇。月間では0.9%上昇した。

 ポンドは対ドルで0.2%高の1.2328ドル。英国立統計局(ONS)が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)確報値が前期比2.2%減少したことを受け、序盤は下落していたが、切り返した。スイスフランは対ドルで0.5%高の0.9467フランとなった。
ドル/円     NY終値     107.92/107.95
                  始値            107.72
                  高値            107.98
                  安値            107.53

ユーロ/ドル   NY終値    1.1231/1.1235
                  始値            1.1207
                  高値            1.1261
                  安値            1.1192