ゆうちょ銀行と提携している電子決済サービス12社のうち、ソフトバンクグループの「ペイペイ」やNTTドコモの「ドコモ口座」など6社で不正な貯金の引き出しがあったことが15日わかった。ドコモ口座を悪用した不正引き出し問題が起きており、被害の拡大が懸念される。

 ペイペイによると、今年1月以降、17件で計約141万円の不正な引き出しがあった。ペイペイは全額補償する。

 他に不正が判明しているのは金融ベンチャー「Kyash(キャッシュ)」で、残る3社についてゆうちょ銀は明らかにしていない。

 ゆうちょ銀は、12社のうち、10社の新規登録と銀行口座からのチャージ(入金)を16日から停止する。残る2社は「2段階認証」を導入しているという。

 高市総務相は15日の閣議後記者会見で、ゆうちょ銀の口座保有者を念頭に、「不審な出金がないか確認していただかなければいけない」と述べた。

 一方、ドコモは15日、同日午前0時時点の被害状況を明らかにした。地方銀行を中心に11行で計143件(前日比23件増)の被害があり、総額は2676万円(同134万円増)に上った。

 金融庁は15日、決済事業者や銀行に対し、安全対策の強化を求める要請を出した。一時的なパスワードの導入など複数の認証を行うよう促し、安全対策の強化が完了するまでは口座の新規登録や入金を一時停止するよう求めた。