米大統領選に向け、共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領による最後のテレビ討論会が22日夜(日本時間23日午前)、テネシー州ナッシュビルで開かれた。11月3日の投票日まで2週間を切る中、両氏は新型コロナウイルスへの対応を始め、外交政策や人種、気候変動の問題をめぐって議論。大荒れとなって「史上最悪」と言われた前回から一転、両候補が初めて本格的に政策議論を戦わせる場となった。

 トランプ氏は冒頭、自身の新型コロナ対応が成功していることを強調し、「(新型コロナ問題は)間もなく終わるだろう」と語った。一方、バイデン氏は米国で22万人超が死亡したことを指摘し、「トランプ氏はいまだに(新型コロナ対応の)包括的なプランを持っていない」と批判。「私は持っている」と訴えた。

 北朝鮮政策をめぐっては、トランプ氏が北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との親密な関係に言及し、戦争を回避したと強調したのに対し、バイデン氏は正恩氏を「悪党」と呼び、北朝鮮がミサイル能力を向上させていると指摘した。また、バイデン氏は「中国をルールに従わせる」と述べ、対中政策で同盟国との連携の重要性を訴えた。

 気候変動に関しては、トランプ氏が温暖化対策の国際ルール「パリ協定」について「我々のビジネスを破壊するものだった」と批判し、脱退を表明したことを正当化。一方、バイデン氏は「我々は気候変動問題に取り組む道徳的義務を負っている」と述べ、パリ協定に復帰すると明言した。

 大統領選に向けた討論会は2回目。司会役を務めた、NBCニュースアンカーのクリステン・ウェルカー氏はあらかじめ、テーマとして「新型コロナ」「家族」「人種」「気候変動」「国家安全保障」「リーダーシップ」を指定していた。前回の討論会ではトランプ氏がバイデン氏の発言を何度も遮ったため、今回は各テーマの冒頭で1人の候補が話す2分間は、もう1人のマイクのスイッチを切る異例の措置が導入された。「史上最悪」と言われた初回と異なり、トランプ氏がバイデン氏の議論を遮ることは少なく、議論はスムーズに進んだ。

 大統領選は最終盤を迎えているが、バイデン氏の優勢は揺らいでいない。政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた、22日現在の世論調査の平均によると、勝敗のカギを握る六つの激戦州では、1・8~7・8ポイント差でバイデン氏がトランプ氏をリードしている。

 討論会は15日にも予定されていた。しかし、トランプ氏が新型コロナウイルスに感染したことを受け、主催団体がバーチャル形式で開催することを提案したところ、トランプ氏が拒否し、中止となった。(ワシントン=園田耕司)