【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は26日、大統領選をめぐり選挙人が民主党のバイデン前副大統領を正式に選出した場合に再選を断念して退任する考えを示した。ただ次期政権が発足する来年1月まで「多くのことが起きる」とも語り、法廷闘争を通じて再選に固執する姿勢は変えていない。

ホワイトハウスで記者団の質問に答えた。「選挙人がバイデン氏を選んだ場合にホワイトハウスを去るか」と問われて「きっとそうする」と述べた。

各州は選挙結果に沿って、大統領候補に投票する選挙人を指名する。連邦法に従い選挙人は12月14日に投票し、過半数の票を得た候補が当選する仕組みだ。トランプ氏の発言はこのタイミングで敗北を認める可能性に言及したものだ。

一方で「今から(次期政権が発足する2021年)1月20日まで多くのことが起きると思う」とも強調。選挙人による投票後も選挙不正を主張して法廷闘争を続ける構えを見せた。

選挙人の投票後に結果が覆るシナリオは極めて考えにくい。しかし、連邦議会で次期大統領選出の手続きを差配する上院議長のペンス副大統領が選挙結果に従わない可能性などはゼロではない。

トランプ氏は24年の大統領選の再出馬について「まだ話したくない」と答え、可能性を排除しなかった。米メディアによると、トランプ氏はバイデン氏の勝利が正式に認定された場合に24年の大統領選へ再出馬する意向を周辺に伝えていた。21年1月5日に実施される南部ジョージア州上院選の決選投票に向け、現地に2回入って共和党候補を応援するとも明らかにした。

バイデン氏の当選が確実になってから、トランプ氏が公の場で記者団の質問に答えるのは初めて。選挙前は連日で記者の質問に答えていたが、バイデン氏の当確後は情報発信を主にツイッターに限っていた。