【ワシントン時事】トランプ米大統領の支持者による議会乱入事件を受け、トランプ氏の弾劾訴追を目指す案が野党民主党内で有力になってきた。複数の米メディアが8日、報じた。週明け11日にも決議案を提出し、スピード審議で史上初となる2度目の弾劾訴追に至る可能性もある。

トランプ氏、破滅的終幕 暴力に訴え米史に汚点―支持者、議会乱入

 ペロシ下院議長はトランプ氏解任に向け、大統領が職務を果たせない場合の罷免手続きを定めた憲法修正25条を発動するようペンス副大統領に求めているが、ペンス氏は応じていない。このため、下院多数派の立場を生かし、2019年末の「ウクライナ疑惑」に続く2度目の弾劾という不名誉をトランプ氏に与えることを狙う。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、既に民主党の下院議員約170人が「米統治機構に対する暴力を故意に扇動した」とする弾劾決議案に賛同している。ペロシ氏は8日、「大統領が即刻辞職しなければ、行動を進める」と述べた。

 弾劾訴追は、下院の過半数の賛成で実現する。ただ、その後の弾劾裁判で大統領を罷免するには、上院議員の3分の2以上の賛成が必要となる。共和党の賛同者がわずかにとどまっている現状では罷免の見込みはほぼなく、共和党上院執行部は審議すらしない可能性もある。