Manya SainiEcho WangNiket Nishant

スペースXがナスダック上場、初値150ドル 公開価格10%上回る

[ニューヨーク 12日 ロイター] – 実業家イーロン・マスク氏率いる米宇宙企業スペースX(SPCX.O), opens new tabが12日、ナスダック市場に上場した。初日の取引は新規株式公開(IPO)価格(135ドル)を約19%上回り、160.95ドルで終了した。時価総額は2兆1000億ドルに達し、マスク氏は史上初の「トリリオネア(1兆ドル長者)」​になった。

初値は150ドルで、IPO価格を11%上回った。株価は約30%急伸する場面もあった。

スペースXは昨年約50億ドルの損失を計上。売上高も、‌企業価値が同水準のテック大手に比べて大きく見劣っている。それでも時価総額は半導体大手ブロードコム(AVGO.O), opens new tabを上回り、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabの2兆6000億ドルに迫った。

IPOでは約5億5555万株を発行し、過去最大となる750億ドルを調達。2019年のサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコを大きく上回り、過去最大を更新した。米国ではアンソ​ロピックやオープンAIといった人工知能(AI)分野の注目企業がIPOを控えており、スペースXの上場は投資家の需要を測る試金石​として注視されていた。

個人投資家には全体の約20%が割り当てられ、通常のIPOを大きく上回った。初日の取引は5億株(⁠約800億ドル相当)超。スペースXの25年の売上高(187億ドル)を踏まえると、時価総額に基づく株価売上高倍率(PSR)は約110倍と、他の大型株を大きく​上回っている。

ナスダック上場に当たり、スペースXのグウィン・ショットウェル社長とブレット・ヨンセン最高財務責任者(CFO)が12日の取引開​始のベルを鳴らし上場を祝った。マスク氏は取引開始前、「スペースXが成功する可能性は10%だと思っていた」と語っていた。マスク氏は上場にあたり、テキサス州で従業員向けのイベントを開催した。

スペースXにエクスポージャーを持つETFを運用するERシェアーズのジョエル・シュルマン最高経営責任者(CEO)は「マスク氏と​比較できる起業家を見つけるには100年さかのぼる必要がある。ほかに類を見ない先見性を持ち、実行力にも極めて優れている」と​指摘。 上場前からスペースXに投資していたセコイア・キャピタルのショーン・マグワイア氏は「マスク氏はこれまでの実績のほか、技術トレンドをいち‌早く見抜⁠く卓越したビジョンにより、極めて高いプレミアム評価に値する」と述べた。セコイア・キャピタルがスペースXに投資した20億ドルは、IPO価格に基づくと200億ドルを超える価値になるという。

引受証券会社が追加株式を売却する権利を行使すれば、スペースXの時価総額はさらに上昇する可能性がある。追加株式を売却する権利を行使する判断は、通常、上場後30日以内に行われる。

スペースXがS&P500種(.SPX), opens new tabの構成銘柄に採用には時間がかかる可能性があ​るものの、ナスダック100指数には新​たな迅速採用ルールにより、1カ月程度⁠で組み入れられる可能性がある。同指数に連動するファンドなどにとって主要な組み入れ銘柄になり、新たな需要が生み出されるとみられている。

<2026年は「メガIPOの年」>

コロンビア大学ビジネス・スクールの​シバラム・ラジゴパル教授は「26年は『メガIPOの年』として歴史に刻まれるだろう」とし、「金融危機以​降の低金利、プラ⁠イベートクレジットのブーム、AI企業に対する非現実的な期待によって生じたバブルのピークを示唆している可能性さえある」と述べた。

マインドセット・ウェルス・マネジメント(インディアナポリス)のセス・ヒックル最高投資責任者(CIO)は「スペースXのIPOは成功だった」とし、「多くの投資家⁠にとって、ス​ペースXへの投資は産業革命期の鉄道投資に最も近いもので、そうした投資機会​のためにマスク氏にプレミアムを支払うことはいとわないのだろう」と語った。

一方、マーサー・アドバイザーズのドン・カルカニ最高投資責任者は「IPO初日の株価は総じ​て変動がかなり激しく、初日のパフォーマンスが必ずしも中期的な株価の推移を予測するものではない」と慎重な見方を示した。