【ニューヨーク時事】インターネット交流サイト(SNS)で連携した個人投資家による投機的取引で米株価が乱高下した問題を受け、政府や議会で規制論が強まっている。SNS上で特定銘柄の買いを呼び掛ける行為の違法性の有無や、ヘッジファンドによる空売り規制強化の是非が焦点になりそうだ。

 米議会下院の金融サービス委員会は18日に関係者を呼び、公聴会を開く。証券取引委員会(SEC)は、詳細な株式売買記録やSNSでの投稿状況などの調査に着手した。

 米株式市場では1月下旬、業績不振の米ゲーム販売大手ゲームストップ株などの株価が急騰。株価下落を見込んで、空売りしていたヘッジファンドに対し、SNSで連携した個人投資家が大量の買い注文で対抗する形となった。ファンドは、高値での買い戻しを迫られ、巨額損失を被った。

 2月に入ると、値動きは落ち着きつつあるものの、個人投資家の投機的な買いはバイオ関連企業株や商品市場などにも広がった。

 SNS「レディット」では、ヘッジファンドを敵視し、ゲームストップなど特定の銘柄や関連する金融派生商品の買いをあおる書き込みが相次いでおり、法令で禁じられた「相場操縦」に当たる可能性が指摘されている。民主党のウォーレン上院議員は「どの程度連携すると違法なのか、明確性が欠如している」と指摘。インターネット上での行為も含め、定義をはっきりさせる必要があると主張する。

 ヘッジファンドによる空売りへの批判も多い。今回の問題では、株価急騰に慌てたヘッジファンドによる、損切りのための多額の買い戻しが、株価変動を増幅させた行き過ぎた空売りは、市場を不安定化させ、「投資家に損害を与える略奪的な行為だ」(ウォーターズ下院金融サービス委員長)と批判する声も上がっており、公聴会でも論点となる見通しだ。