[15日 ロイター] – クーデターを通して実権を掌握した国軍に対する抗議デモが続くミャンマーで、15日は警官隊による発砲で12人が死亡した。ミャンマー国営放送のMRTVは首都ヤンゴンの数地区で戒厳令が発令されたと報道。ミャンマー・ナウは第2の都市マンダレーの一部でも戒厳令が出されたと報じている。

地元メディアと目撃者の情報によると、この日はマンダレーのほかアウンランなどでも抗議デモが実施され、警官隊がデモ参加者に向けて発砲。18歳のデモ参加者はロイターの電話取材に対し「少女が頭を撃たれ、少年が顔面を撃たれた」と述べた。

ミャンマー・ナウによると、アウンランなどで12人が死亡。マンダレーのジャーナリストによると、マンダレーで1人が撃たれ、死亡した。

14日にはヤンゴン郊外にある中国資本の工場が放火されたことを受け、治安部隊がデモ隊に発砲。中国の環球時報は、ヤンゴンで合計32の中国資本の工場が破壊されたと報じている。

中国外務省の趙立堅報道官は北京で「中国の企業とその従業員の安全確保に向けミャンマー当局が一段の措置を実施することを望んでいる」と述べた。

中国政府が国軍のクーデターを表立って批判していないことで、ミャンマーでは反中感情が高まっている。抗議デモのリーダーの一人、Thinzar Shunlei Yi氏は、ミャンマー人は中国に反感を持っていないとしながらも、「ミャンマーとの関係を重視し、(ミャンマー国内の)中国事業を守りたいなら、中国政府は国軍の支援を止める必要がある」と述べた。

国連の報道官は、グテレス事務総長が国軍による暴力の拡大に驚いているとし、「事務総長は、軍による弾圧を終わらせるために国際社会が協調して、また二国間でも取り組むことを求める」と述べた。

ミャンマーの人権団体、政治犯支援協会(AAPP)などによると、国軍に対する抗議デモでこれまでに183人が死亡した。