• どのような点が足りなかったのか、しっかり検証していく-同社幹部
  • 取引の適切な後処理が重要、その後リスク管理体制確認-金融庁幹部

野村ホールディングスは、米子会社で2200億円規模の損失が発生する可能性が生じたことを受け、事態の検証に着手した。同社幹部が30日、匿名を条件にブルームバーグなどに対して述べた。

  同幹部は、多額の損失が生じることになった原因について、どのような点が野村HDに足りなかったのか、しっかりと検証していくと述べた。損失確定の時期については、まだはっきりとは分からないとした。

  アルケゴスは、米ヘッジファンドであるタイガー・マネジメントの元トレーダー、ビル・フアン氏の財産を管理・運営するファミリーオフィス。先週、マージンコール(追加証拠金の要求)に応じられなかったことを受け、取引先銀行から200億ドル相当の保有株式の売却を強いられた。

  同社の取引について知る関係者によると、アルケゴスが投資先企業の持ち分を積み上げるのに利用していたレバレッジの多くは、野村HDやクレディ・スイス・グループなどの銀行が、スワップや「差金決済取引(CFD)」を通じて提供していた。この取引ではアルケゴスが実際に原資産を保有することはない。クレディ・スイスも多額の損失計上の可能性を発表している。

  前出の野村HD幹部は、アルケゴスとの取引ポジションをどの程度解消したかについては、コメントを控えた。

  金融庁の幹部は29日、野村HDに損失が発生する原因となった取引のポジションはまだ残っているとして、まずは適切に後処理をすることが重要だと指摘した。その上で、リスク管理体制についても確認する方針を示した。市場関係者の間でも、適切なリスク管理体制が取られていたのかについて注目が集まっている。

  野村HDの30日の株価は一時前日比4.1%安の578.6円と続落。株式市場では実際に損失が生じた場合の株主還元への悪影響が懸念されている。29日は終値ベースで16%安と上場来最大の下落率を付けていた。