ペルーの死者数の増加は、いわゆる「超過死亡」の人数に沿っている。写真は今年4月、首都リマ郊外の墓地で

南米ペルーで、新型コロナウイルスによる死者数がこれまで報告されていた人数の2倍以上だと、データの見直しによって明らかになった。これにより、人口当たりの死者数が世界最多となった。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、同国での死者はこれまで6万9342人とされてきたが、見直し後には18万764人となっている。

ペルーのビオレタ・ベルムデス首相は記者会見で、国内外の専門家の助言によって死者数が見直されたと説明。「最新の情報を公にする義務があると思った」と話した。

一方、見直し後の死者数は、例年同時期の死者数を超える死者数を示す、いわゆる「超過死亡」の範囲は超えていないという。

ペルーは南米でも特に新型ウイルスの感染が深刻な国のひとつ。医療機関は逼迫(ひっぱく)し、医療用酸素ボンベは不足している。

南米では、ブラジルの死者が46万人と突出しており、世界1位。一方、コロンビアは8万8282人、ボリビアは1万4000人と報告されている。

人口当たりの死者数は、これまでハンガリーの10万人当たり約300人が世界最多だった。しかし今回の見直しで、ペルーの人口当たり死者数は10万人当たり500人以上となった。

<解説>真相が明らかに ――ウィル・グラント、メキシコ・駐米特派員

ペルー国民は長い間、国内の深刻な新型ウイルス感染状況について、政府から真相を聞かされていないと感じてきた。

今回見直しされた新型ウイルスの死者数は、その疑念が正しかったことを示している。政府は事実、実際の死者数がこれまでの数値の2倍以上だったと認めた。

データ再検討のために結成された専門家会議は、見直し後の数字を明らかにする前に、新型ウイルスでの死者の記録法について、より広範にわたる指標を発表した。

狭い定義は使われなくなった結果、人口当たりの死者数はブラジルよりも高くなった。

ペルーではこれまで、各地の病院や集中治療室で聞かれた個人の話に基づく証拠や、葬儀が追いつかず、土葬の場所探しに苦しむ墓地の写真などが報じられてきた。新たに発表された数字は、こうした証拠と一致する点が多い。

こうした中、南米の多くの国ではワクチン接種事業が遅れ、様々な困難に直面している。

(英語記事 Peru more than doubles Covid deaths after review