[東京 13日 ロイター] – 東芝は13日、今月25日の定時株主総会に諮る予定だった取締役選任案を変更し、社外取締役の太田順司氏、山内卓氏を除外すると発表した。両氏とも退任する。昨年7月の株主総会で海外投資家に不当な圧力をかけていたとする外部の弁護士による調査報告を受け、大株主が2人の辞任を求めていた。

東芝はこの日、臨時取締役会を開催。調査報告書で名前の挙がった豊原正恭副社長、加茂正治常務が25日付で退任することも発表した。経済産業省と一体となって、社外取締役の選任を提案していた株主に不当な影響を与えたとしたこの報告書への見解は、改めて示すとした。同社は14日午後、永山治取締役会議長が会見を開く。

太田氏は監査委員会の委員長と指名委員会の委員を、山内氏は監査委と指名委の委員を務めていた。東芝は昨年の株主総会について社内調査を実施し「不当な干渉に関与したことを認める資料はなかった」などとしていたが、外部弁護士による調査報告を受け、第2位株主の3Dインベストメント・パートナーズが、監査委員会の機能不全を指摘。両氏の即時辞任を要求していた。

同じく3Dから辞任を要求された永山治取締役会議長小林伸行監査委員会委員は、会社側の選任議案に残った。新たな人事案に対し、この日の臨時取締役会で異論は出なかったという。10日に調査報告書が出た後、当初の選任案に異議を唱える声明を出したポール・ブロフ氏、ワイズマン広田綾子氏、ジェリー・ブラック氏、レイモンド・ゼイジ氏の4社外取締役も除外されなかった。

4人は13日夜に改めて声明を出し、株主還元の改善と企業統治の強化に向けた重要なステップだと臨時取締役会の決議を評価。「我々がサポートする永山議長と働くことを楽しみにしている」とした。

東芝は13人の取締役選任案を提示していたが、今回の変更で11人に減った。調査報告については「真摯に受け止める」とし、「第三者の参画も得て、速やかに客観的、透明性のある徹底した真相の究明を行い、責任の所在を明確化する」とした。

当初の選任案に対しては、米国の議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズとグラスルイスがそれぞれ、永山議長などの再任反対を推奨していた。

基太村真司 編集:久保信博