【ソウル時事】北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長は15日夜、弾道ミサイル発射を「挑発」と批判した文在寅韓国大統領の発言を糾弾した。南北の平和と和解を口癖のように唱えつつ急速に軍拡を図る文政権の「二枚舌」に対する不満を爆発させた形だ。

〔写真特集〕金正恩氏の妹、金与正氏

 韓国統一省によると、金与正氏が文氏を名指しする談話を出したのは初めて。「自らの行動は平和を後押しするための正当な行動で、われわれの行動は平和を脅かす行動と描写する非論理的、愚昧な態度」と反発し、「今後の北南関係の発展を憂慮せざるを得ない」と警告した。

 文政権は国防費を年平均6.5%増のペースで拡大。15日には異例の大統領立ち会いの下、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの発射実験を公開した。19日は敵対関係の解消をうたった平壌共同宣言と具体的な緊張緩和策を盛り込んだ南北の軍事分野合意書の署名から3周年で、「このタイミングで行う必要があったのか」(専門家)と疑問視する声もある。

 これに対し、北朝鮮は16日、15日に鉄道から弾道ミサイルを発射したと明らかにした。全国の鉄道網を活用でき、旅客列車に偽装しやすく、既存の列車を利用すれば移動式発射車両を多数配備するより安上がりという利点がある一方、爆撃で線路が寸断されれば役に立たない。通常兵器で明らかに劣勢の北朝鮮は、韓国の新兵器開発に脅威を抱いているとみられ、ますます「核」への依存を強めているもようだ。

 国際オリンピック委員会(IOC)の処分により、韓国が南北関係改善の機会と期待していた来年2月の北京冬季五輪への北朝鮮の参加は困難になった。文氏は15日、「北朝鮮の(核などの)非対称戦力を圧倒できるよう多様なミサイル戦力を増強し続ける」と強調。もはや南北和解よりも「自主国防」を政権の実績にしようとしているようにも映る。