環境・社会・企業統治(ESG)投資のベテラン、マット・パツキー氏は35兆ドル(約3900兆円)規模となった同業界について、ファンドマネジャーによる虚偽の主張を一掃する規制強化を待ち望んでいる。

  トリリウム・アセット・マネジメント(運用資産48億ドル)を率いるパツキー氏が最初にESG投資商品を探し始めたのは1990年代にさかのぼる。多くのファンドマネジャーはESGについて考えてもいなかった時代だ。現在出回るESG資産のうち、本物のサステナブル(持続可能な)資産はほんの一部にすぎないと同氏は見積もっている。

  ESGを宣伝文句に使う動きを抑えようとする規制当局の取り組みについて、「何年もの間に業界で起こった最も良いことだ」と同氏はインタビューで指摘。「それにより、ワイルド・ウエスト(開拓時代の米西部地方)化した分野に厳しい目が向けられる。この分野ではファンドマネジャーらが自己判断であらゆるものにESGの表記を付けている」と述べた。

  環境への害を減らすよう企業に強く圧力をかけることもせずに、ESG投資を宣伝しているファンドマネジャーは本物ではないと、パツキー氏は語る。規制強化でこうした動きが減ることを同氏は望んでいる。

  その上で、ESGデータには欠陥があるとし、同データのみを使ってサステナブル投資をしていると主張するファンドマネジャーらに関して否定的な見解を示した。

関連記事
ESG宣伝文句の見直し、欧州資産運用会社急ぐ-DWS調査が引き金
資産運用会社は冷や汗、SECが「ESG」誇張表示で調査を強化
SEC委員長、ファンドのESG資産を精査指示-情報開示の厳格化も

原題:‘Wild West’ of ESG Ripe for a Crackdown, Veteran Investor Says(抜粋)