• パウエルFRB議長はテーパリング加速に傾く
  • ECBラガルド総裁は緩和的スタンスを維持する見通し

世界の中央銀行に金融政策運営で相違が生じており、こうした状況は2022年に一段と拡大する見通しだ。米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)、日本銀行、イングランド銀行(英中央銀行)は今週金融政策決定会合を開き、政策運営の相違が示されるだろう。

  今週は他にスイス、ノルウェー、メキシコ、ロシアなど約16の中央銀行が政策決定会合を開く。 

  中銀にとって直近のワイルドカード(不確定要素)は新型コロナウイルスのオミクロン変異株だ。経済成長やインフレへの影響がどれほど深刻か中銀当局者は来年にかけて極めて重要な検討を加えることになる。コロナワクチンへの耐性がより強ければ、各国政府が企業活動に新たな規制を課さざるを得なくなり、消費者が自宅にとどまることが懸念される。

  パウエルFRB議長は14、15日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、1カ月前に計画していたよりも、資産購入のテーパリング(段階的縮小)を加速させると確認する方向に傾いている。

  同議長はインフレ率が40年ぶりの高水準近くで推移すれば、2022年のより早い時期に利上げを実施する道を開いていると示唆する可能性さえある。

  ECBのラガルド総裁はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を今後終了させる見込みであるものの、16日の理事会では緩和的な政策スタンスを維持するとみられる。同総裁は物価急上昇がエネルギーコストや供給網の問題など一時的な要因によるものと主張しているためだ。

  各中銀の金融政策の相違はドルがユーロや人民元に対して上昇する公算があることを意味し、中国の輸出がさらに増加して通貨間の緊張を招く恐れがある。またドルが一段と上昇すれば新興市場から資金を流出させ、新興市場国の脆弱(ぜいじゃく)な回復を損なう。

  スイス・リーのチーフエコノミスト、ジェローム・ハジェリ氏は「来年のフェデラルファンド(FF)金利の上昇とさらなるドル上昇が新興市場にとって試練の時になろう」と述べた。

原題:Twenty Central Banks Hold Meetings as Inflation Forces Split(抜粋)