[ワシントン 27日 ロイター] – 米国防総省高官は27日、ウクライナでの戦況が芳しくなく、ロシアが作戦を包囲攻撃に転換している可能性があるとの見方を示した。

高官によると、ウクライナ軍の強い抵抗や、一部部隊で燃料不足など兵たんの問題が生じ、ロシア軍の進軍が限定的にとどまっていると米政府は分析している。これまでにウクライナ側の標的に350発以上のミサイルが撃ち込まれた。一部の民間施設も被害を受けたが、主に軍基地などが標的になっているという。

高官は、首都キエフの北に位置するチェルニヒウに対するロシア軍の攻撃を挙げて「包囲戦術を採ろうとしているようだ」と指摘。その上で、包囲攻撃では市民が巻き添えになる可能性が高くなると懸念を示した。

高官によると、ロシア軍はウクライナの都市を制圧していないほか、制空権も確保できておらず、部隊はキエフ中心部から約30キロの位置で前日から前進していない。

「(ロシア軍は)外国でこれほどの複雑さや規模で動く経験を積んでいない」と述べた。計画や実行面の失敗かは不明だが、こうした状況に適応して課題を克服するだろうと予測した。

ロシアはウクライナ国境付近に集結させた部隊のうち3分の1をまだウクライナに投入していないという。

<核のリスク>

ロシアのプーチン大統領は27日、核抑止部隊を高度の警戒態勢に置くよう軍司令部に命じた。オースティン国防長官、ミリー米統合参謀本部議長をはじめとする軍幹部は同日朝の会議で、プーチン氏の指示について協議した。高官は、まだ情報収集中とした上で「誤算が生じれば、はるかに危険な状態になる」と危機感を示した。

プーチン大統領の発表を踏まえてもウクライナへの軍事支援を継続するかとの質問には「支援は実施される」と答えた。

元国防総省高官のミック・マルロイ氏は、プーチン氏の指示は現地で戦果を上げられていないことを受けた対応との見方を示した。