2022年08月27日07時32分

 【ソウル時事】韓国のソウル南部地裁は26日、与党「国民の力」のトップ、朱豪英・非常対策委員長の職務執行を停止する仮処分決定を下した。李俊錫前代表の訴えを認めたもので、党は事実上、指導部不在の状態となり、大混乱に陥った。

代表に異例の党員停止処分 性接待疑惑、与党激震―韓国

 党内の尹錫悦大統領に近い勢力と、尹氏と距離がありほぼ孤立状態にある李氏との間の権力闘争を背景に、党は9日、朱氏を非常対策委員長に任命した。16日に非常対策委を発足させると同時に、それまでの執行部を解散し、李氏を代表から解任した。これに先立ち李氏は、10日に委員長任命に関する手続きの効力停止を求める仮処分を申請していた。

 地裁は「非常対策委を設置しなければならないほどの非常事態が起こったとみることは難しい」と判断した。朱氏は「とても当惑している。納得できない」と反発。党は「党内の問題に対する過剰な介入だ」と地裁の決定に異議を申し立てた。

 尹政権や党にとり今回の決定は打撃となる。党は27日以降、緊急の議員総会を開くなどして対応を協議するが、事態収拾のめどが付くかは見通せない。

 最近、尹氏や党内主流派への攻撃を強めている李氏は、決定を受け勢いづくとみられる。ただ、7月に性的接待疑惑に絡み党員資格停止6カ月の処分を受けており、代表に復帰できるわけではない上、党内の支持基盤も乏しい。

 党はあくまで李氏を追い落としたい考えとみられ、今後の対応策として党の倫理委員会を通じ李氏を党から除名する案なども取り沙汰される。李氏と党の対立はさらに激化しそうだ。