なんとも信じられない事件だ。こんなことが本当に起こるのか?ENEOS会長の杉森務氏(66)の電撃辞任は、「”壮絶”性加害だった」(デイリー新調)というのだ。石油企業のトップに君臨、石連会長や政府の審議会委員など要職を歴任している業界の顔ともいうべき人物だ。その人物がこの7月、沖縄の高級クラブでホステスの「胸を触り、キスを強要」(同)、被害女性は骨折していたというのだ。ENEOSは被害女性に配慮して真相の公表を伏せてきたという。大企業としてのコンプライアンス上の問題も誘発しかねない事態だ。最近メディアでは売れっ子俳優・香川照之氏にまつわるスキャンダルも報じられている。香川氏、56歳。杉森氏66歳。社会的な成功者である2人の醜態は、ハラスメントをまったく理解していない男性高齢者の実態を曝け出しているのかもしれない。

デイリー新調は当日の様子を克明に描写している。初めて会ったホステスに興味を持った杉森氏は「持ち込みのワインを飲みだして気持ちが大きくなったのか、・・・彼女のドレスの中に手を入れて、胸を触り始めた。それには飽き足らず、ついにキスを強要した。彼女の肩に手を回し、その腕で強引に首を絞めるような格好で唇を奪ったのです」(同店の内情を知る関係者)とある。これが事実ならセクハラというより強姦に近い。さらに気になるのは次の一文だ。「この間、女性は幾度も拒む仕草を見せたが『銀座では普通だよ、こんなの』などとしつこく言い募りながら別のホステスにも同様の行為を働いたという」。「銀座では普通だよ、こんなの」、杉森氏にとっては日常茶飯事だろう。功成り名を遂げた成功者のこれが恥知らずな“常識”ということか。世間に醜態を晒したのは杉森氏だけではない。ENEOSも共同正犯に近いだろう。

女優・倍賞美津子が9月8日放送の「六本木クラス」(テレ朝)で巨大企業の会長役を演じている香川照之氏向かって「もうろくじじい!」と言い放つシーンがあり、折からのスキャンダルも絡めてネットで話題を集めている。倍賞氏は台本通りのセリフを喋ったに過ぎないが、杉森氏が犯した醜態の本質をこの一言がズバリ言い当てている気がする。送迎バスに園児を取り残した「川崎幼稚園」の園長もそういえば70歳を超えていた。日々繊細に移り変わる世の中の常識、それについていけない、あるいはついていこうとさえしない高齢の成功者。そうした人に自覚を促しても意味がない。周りにいる者がそういう人を責任あるポストにつけないようにするか、排除するしか方法がない。ENEOSは酒癖の悪い杉森氏の体質を前から知っていたはずだ。その人を排除できなかったところに根本的な瑕疵がある。