[東京 5日 ロイター] – 政府が5日開いた経済財政諮問会議で、民間議員らは欧米利上げなどにより日本経済に下押し圧力がかかるなか、賃上げが可能な経済成長の重要性を強調した。連合集計で2.07%だった今年の水準を上回る賃上げを実現するには、実質2─2%台半ばの経済成長率を目指したマクロ経済運営が必要で、こうした成長が実現した場合は現在(4─6月期)15兆円程度の需要不足(GDPギャップ)が2023年にかけて相当程度縮小すると指摘した。

賃上げ促進のため、中小企業の適正な価格転嫁に向け環境整備するほか、中小企業への政府支援には、賃上げの実施を条件とする必要性も指摘した。

生産性向上や賃上げ拡大と共に、成長分野への労働移動促進や、最低賃金の1000円以上への早期引き上げ、女性雇用の正規化も提唱した。

また、脱炭素化(GX)促進のため、原発活用や、蓄電池や揚水による余剰電力有効活用も提言している。GX関連の特許出願件数は日本が世界で最も多いと指摘、海外展開も見据えた円滑な事業化に政府支援を強化すべきとしている。

岸田文雄首相は会議終了前にあいさつし、日本経済を高い成長経路に乗せるため、今回策定する総合経済対策では、物価高騰で厳しい状況にある人々の支援に万全を期すとともに、インバウンドの回復や農林水産物の輸出促進などを通じて円安のメリットを広く地方へと届けると語った。

構造的な賃上げに向けては、最低賃金を含む賃上げの継続に加えて「人への投資」が必要不可欠だとの認識を改めて示した。

(竹本能文、杉山健太郎)