[モスクワ 12日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は12日、損傷した海底パイプライン「ノルドストリーム」を通して欧州に供給していた天然ガスを黒海方面に振り向け、トルコを欧州向け天然ガス輸出の中心地とする案を提案した。

ロシア産天然ガスを欧州に輸送する海底パイプライン「ノルドストリーム1・2」は先月損傷し、現在調査が進められている。プーチン氏はノルドストリーム2の損傷していない部分を利用して欧州連合(EU)に供給する案も提案した。

プーチン大統領はモスクワで開かれているエネルギーに関する会議で、ノルドストリームの修復は可能としながらも、どのように対応するかはロシアと欧州が決めなくてはならないとし、「バルト海を通るノルドストリームで供給していた天然ガスを黒海地域に振り向け、トルコを経由する供給の主要ルートを作り、トルコを欧州向け天然ガスのハブとすることも可能だ」と述べた。

同会議に出席しているトルコのドンメズ・エネルギー天然資源相は「代替ルートを通して欧州に供給するというプーチン大統領の提案を耳にしたのは今回が初めてだ」とし、こうした国際プロジェクトは実現可能性を評価する必要があり、商業的な面からも討議しなければならない」と指摘。コメントするのは時期尚早としながらも、討議する姿勢を示した。

プーチン大統領はこのほか、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が原油価格の維持に向け減産を決定したことを歓迎するとし、サウジアラビアが主導するOPECと引き続き協力していくと表明。「OPECプラスの協調行動で、市場の安定性と予測可能性が引き続き確保される」と述べた。

ロシア国営ガスプロムのアレクセイ・ミレル最高経営責任者(CEO)は、黒海の「トルコクストリーム」パイプラインはノルドストリームより深い海底を通っていると指摘した上で、トルコを天然ガスハブとする案について「EUとトルコの境界沿いの取引プラットフォームについて検討できる」との見方を示した。

ノルドストリームについては、修復は可能としながらも、EUが修復を望むか明確に示し、かつ安全を保障する必要があると述べた。