[パリ 26日 ロイター] – フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相が26日にパリで会談したが、終了後に共同記者会見が開催されない異例の事態となり、両首脳の間に「すきま風」が吹いている様子がうかがえる。 

ショルツ氏は会談後、両首脳は欧州のエネルギー供給や物価高騰、共同防衛計画などで「非常に良好かつ重要な会話」を交わしたと説明。「ドイツとフランスは緊密な立場で力を合わせてさまざまな課題に取り組んでいる」とツイートした。

一方、フランス大統領府は声明で、両首脳は独仏間と欧州レベルで一致結束する原則を守る決意を新たにするとともに、共同主権問題を前進させる方法を話し合ったと述べた。

ショルツ氏が到着する前には、フランス政府の報道官が独仏間の対立をことさら否定し、これまで両首脳は時折生じる意見の違いを常に克服できたと強調する場面もあった。

マクロン氏とショルツ氏は会談に先立ち、報道陣の前で互いに微笑みながら握手したものの、関係がぎくしゃくしているのではないかとの質問には答えずにフランス大統領府に入った。

複数のフランス政府関係者がロイターに明かしたところでは、マクロン氏は2017年に大統領に就任して以来、公式の場ではドイツを決して批判せず、問題は水面下で解決するよう政府内に指示を出してきた。

ただ最近は、欧州連合(EU)の防衛戦略からEUの輸入天然ガス価格上限設定問題を含むエネルギー危機への対応、対中関係、さらには財政政策に至るまで、独仏間で見解が一致しない問題が増え続けている。

こうした中で先週には独仏閣僚協議の延期が決まり、マクロン氏のドイツに対する不満が浮き彫りにされた。

複数のドイツ政府高官は、首脳会談が3時間20分にわたり行われて「非常に実りがあり、前向きな話」がなされ、両首脳の関係は報道されているよりも良いと力説した。

それでもこの会談で懸案解決に向けた進展があったのかどうかは明らかではない。