米実業家イーロン・マスク氏と米ツイッターのロゴ(AFP時事)
米実業家イーロン・マスク氏と米ツイッターのロゴ(AFP時事)

 【シリコンバレー時事】簡易投稿サイトを手掛ける米ツイッターを買収した米実業家イーロン・マスク氏の目先の課題は、社内外に生じた不信の払拭(ふっしょく)だ。これまでマスク氏は、利用者数など同社の事業基盤に関し、透明性の欠如を訴えて「口撃」してきた。一部従業員の猛反発も表面化しており、半年に及んだ混迷に直ちに終止符が打たれるかは見通せない。

米ツイッター本社訪問 買収合意間近を演出?-マスク氏

 「きょうはツイッター社で大勢の素晴らしい人々と会った」。マスク氏は買収完了目前の26日、カリフォルニア州サンフランシスコの本社を訪問した。法廷闘争に発展した対立関係を念頭に、融和を演出した形だ。

 ただ足元では、マスク氏がツイッター買収後に全従業員の75%を削減する計画が浮上。投稿サイト上で誤情報などの制限を緩める意向を示してきたマスク氏だけに、従業員からは大規模リストラで管理能力が低下し、サービスの社会的な信頼性が失墜するとの声が上がっている。

 マスク氏は4月の当初合意後、個人情報を抜き取るスパム(迷惑)アカウントがツイッターの推計よりも多いと批判を展開。7月には一方的に合意の撤回を表明した。こうした言動を巡って現在は火消しに回っているものの、顧客企業からは、ツイッターに広告を出す意義に疑問を持たれかねない状況を生んだと言える。

 マスク氏は「ツイッターの長期的な潜在可能性は、現在の価値より桁違いに大きい」と語る。しかし、自らの奔放な言動の数々が、今後の経営の足かせになる可能性も否定できない。