Ben Winck

[ニューヨーク 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] – 米国の労働市場を巡る政策対応は課題が山積みだ。11月の非農業部門雇用は前月比26万3000人増とエコノミスト予想を上回り、失業率は過去最低に近い3.7%にとどまった。企業は新たな従業員を喉から手が出るほどほしがっているが、求職者数が乏しいため人材確保は難しさが増す一方になっている。

賃金を引き上げてもこの問題はなお解決できていない。11月の平均時給は前月比0.6%増とさらに上振れ、前年比上昇率は5.1%に達した。しかし労働参加率は3カ月連続で下がって62.1%になった。この流れは、人手不足が一層の賃上げを促し、それがモノやサービスの価格に波及するという意味で、インフレの高止まりを持続させかねない。

米連邦準備理事会(FRB)は積極的な利上げを続けているものの、多くの産業で採用活動を抑え込めていない。10月末時点の求人件数は1030万件で、新型コロナウイルスのパンデミック前に比べて約50%も多く、失業者1人当たりの求人件数は依然として2件近くある。

こうした労働需要の超過解消には供給を増やすことが鍵になり、政策担当者が一致協力してこそ有効な手を打てる。FRBの政策決定は実体経済に効果を及ぼすまで時間がかかるとはいえ、経済活動に従事する人々の考え方を変える力は持っている。利上げ幅を縮小しつつ、最大雇用の目標追求を改めて強調すれば、インフレの抑制を意図しながら企業が新規採用に動く環境を維持できる。

一方、労働市場に人々を呼び戻すという面では、議会の方が適切な対応能力がある。超党派の後押しによって現在最高で7000ドル弱という所得税の控除枠を拡大するのが1つの案で、そうすれば職探しにおける大きなインセンティブを提供できる。またどこか1つのセクターではなく、さまざまなサービスに対応できる技能の習得に重点を置く職業訓練は、特にこれから労働力人口に入ってくる若者の雇用を押し上げることが可能だ。

バイデン大統領が以前打ち出した、幼児教育無償化などの子育て支援措置を復活させるのも、仕事探しができなかったり、探すのをためらっていたりする子育て世帯の重圧を和らげる効果があるだろう。パンデミック発生以降、ベビーシッターの人材供給が劇的に落ち込み、多くの家庭では労働収入がシッター利用料金で帳消しになっている。このセクターに補助金を提供すれば、働きながらシッターを利用しても割に合う状況に持って行けるのではないか。いずれにしても直近の雇用統計が政策担当者らに突きつけたメッセージは極めて明白で、「ともかく人手が足りない」ということに尽きる。

●背景となるニュース

*米労働省が2日発表した11月雇用統計で、非農業部門雇用は前月比26万3000人増と、ロイターがまとめたエコノミスト予想の20万人増を上回った。失業率は横ばいの3.7%で予想と一致した。

*労働参加率は3カ月連続低下の62.1%、平均時給は前月比0.6%増と10月の0.5%増から一段と上振れて前年比は5.1%増になった。

*米労働省が11月30日に発表した10月の求人件数は1030万件だった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)