[上海/北京 21日 ロイター] – 中国で新型コロナウイルスの感染が急拡大し、企業活動への影響が加速している。北京などの北部を起点として感染の波は全国に広がり、上海に近い長江デルタを含む製造業地帯の労働力を圧迫している

小売業や金融サービス業は深刻な人手不足に見舞われているが、製造業も同様の状況だ。

カナダ・中国ビジネス協会の代表、ノアー・フレーザー氏は「小売業や顧客対面式のセクターは苦境に陥っている。当然ながら、感染症によって働ける人員が限られているため、大規模な小売業の多くは開店さえしていない」と語った。

中国が今月、新型コロナを封じ込める「ゼロコロナ政策」を突然放棄し、大規模検査が中止されたため、公式データでは信頼に足る新規感染者数を把握できなくなった。21日時点で報告されている新型コロナ感染症による死亡者数は、パンデミック開始以来5241人にとどまっている。

しかし一部の推計では、現在の感染の波により、人口14億人強の最大60%が感染する可能性が示されている。

フレーザー氏は「感染者数は大都市以外でも増加し始めている。これはもちろんウイルスが移動しており、さらに混乱が広がることを意味する」と話した。

中国では感染が拡大する前から、ゼロコロナ政策による厳しい移動制限と度重なるロックダウン(封鎖措置)が消費と生産を阻害していた。

11月の工場生産と小売売上高は6カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。大半の新型コロナ制限措置が解除されたのは12月初めだ。小売売上高は5.9%減、自動車生産は9.9%減だった。

<物流が停滞>

日本の半導体大手、ルネサスエレクトロニクスは新型コロナ感染者の増加を受け、16日から19日まで北京工場の操業を停止した。

欧州連合(EU)商工会議所(中国)のヨルグ・ウトケ会頭は「工場を完全に閉鎖したり、生産を一部縮小したりするケースがみられる」と述べた。

ゼロコロナ政策の実施中、多くの工場は従業員を外界から遮断する「バブル方式」を採用していたが、それが崩れ、従業員が感染し始めているとウトケ氏は話した。

ある大手自動車メーカーの上席幹部は、感染が拡大する中で専門のスキルを持つ職員が工場で働き続けられるようにすることは、数多くある課題の1つに過ぎないと語る。

「もしもトラック運転手に問題が生じれば製品を工場に届けられず、工場は自動車を販売店に届けられず、業界全体の供給網が影響を受ける」という。

大型トラックセクターで働くある管理職は、自分が話をするディーラーは既に感染しているか、感染している家族の心配をしている状況だと話した。「基本的にすべてが止まっており、ビジネスらしいことは何一つできない」

中国は世界のサプライチェーン(供給網)における重要な歯車であると同時に、多くの消費財企業にとって重要な販売拠点だ。生産と消費需要への打撃がさらに深刻化すれば、国境を越えて影響が広がるだろう。

上海で4、5月にロックダウンが長期化した時には、米アップル、米テスラ、独アディダスなど世界的企業のサプライチェーンが混乱した。

ただ今のところ、諸外国の景気が悪く中国製品の需要が抑えられていることもあり、感染拡大の影響は限定的だ。

製造業界関係者は「米国と欧州で消費財への需要が減っていることが、おそらく影響の一部を覆い隠している」と語った。

今後数カ月間に従業員の感染が拡大しそうな製造業にとって、年明けに春節が控えていることは好都合だ。毎年この時期には従業員が帰省するため、多くの工場が少なくとも1カ月間閉鎖する。

感染拡大の最悪の影響が出るのはこれからとみられるが、一部の企業は最初の波が収まれば事業は上向くと楽観している。

食品・飲料会社の共同創業者、ディロン・キング氏は「わが社の顧客の大半は今、借金で首が回らなくなっている。だから、だれもが接待によって商談をまとめるために外食するだろう」と予想。「私はこれから迎える年について楽観的だ。ただし、ここ数週間はもちろん痛みを感じている」と語った。

(Casey Hall記者、 Martin Quin Pollard記者、 Joe Cash記者)