予想通りの展開になってきた。岸田政権の最重要課題である「異次元の少子化対策」。先週行われた参院での首相答弁がS N Sで猛烈な批判を浴びている。政権だけではない。与党・自民党も「オッサン感覚」丸出し。要するに子育てで悪戦苦闘する世代に対する理解が全くないのだ。いや現実を知らないとった方がいいだろう。にもかかわらず「異次元の少子化対策に取り組む」とアピールする。異次元といえば子育て世代は何となく期待を抱く。その具体策がリスキリングだという。トンチンカンもほどほどにすべきだろう。ピントが合わないどころの話ではない。机上の空論なのだ。安倍政権が打ち出したアベノマスクと同類だ。これも一種の“ポリコレ”だろう。子育てをしたこともない“オッサン”達が、有権者に向かって赤っ恥を晒している。それに気付いてもいない。こうなるともう支持率低迷どころの話ではない。

27日の参院本会議。自民党の大家敏志議員が以下のような質問をした。「産休・育休中のリスキリングによって、一定のスキルを身につけたり、学位を取ったりする人々を支援できれば、子育てによるキャリアの停滞を最小限にし、逆にキャリアアップが可能になることも考えられる」。岸田総理の答弁、「育児中などさまざまな状況にあっても、主体的に学び直しに取り組む方々をしっかりと後押ししていく」「(大家)議員の提案を参考にしながら取り組んでいく」。産休・育休中に「学び直しに取り組む方々」って一体どういう人。育児を他人に任せられるごく一部の富裕層に過ぎないだろう。これに作家の平野啓一郎さんが噛み付いた。「何のための産休・育休なのか。自分で子供の世話しながら学位取ってみろ。どうしようもないオッサン政権」と斬って捨てた。その通りだ。作家にしておくのが惜しいくらいだ。

平野氏だけではない。ソフトウエア会社「サイボウズ」の青野慶久社長は「赤ちゃんを育てるのは、普通の仕事よりはるかに大変。子育てをしてこなかった政治家が言いそうなことですね」とツイートした。S N Sは総理答弁に対する批判で炎上、「リキスリング」「産休・育休中」という言葉がトレンド入りした。「異次元の少子化対策」は総理が1月4日の年頭記者会見でぶち上げたもの。言ってみれば岸田政権にとって1丁目1番地の最重要政策。その実態が図らずも透けて見えてしまったわけだ。こうなるともう子育て世代の大半が岸田政権を信任しないだろう。加えてG7の「腹合わせ」の外遊中に、息子の政務秘書官が公用車で観光と買い物をしていたとの報道も飛び出した。木原官房副長官がバイデン大統領訪問時に、ポケットに両手を突っ込んでいたと批判されている。総理を取り巻く“お坊ちゃま”たちも政権不信に拍車をかける。この政権は富裕層を代表する政権なのか。与党・自民党にも「危機」が迫ってきた。

※引用は毎日新聞(Web版)より