[東京 26日 ロイター] – 日本の宇宙ベンチャーispace(アイスペース)は26日、民間として世界で初めて試みた月面着陸を「達成することができないと判断した」と発表した。通信が回復しないことから、着陸に失敗した可能性が高いとしている。

着陸船が月面に対して垂直になったことは確認したものの、予定時刻を過ぎても着陸を示すデータを取得できなかった。燃料の推定残量がなくなった上、データ上で降下速度が急に上昇したことを確認し、最終的に通信が途絶えたという。

袴田武史・最高経営責任者(CEO)は通信が途絶えた時点で、「月面着陸を完了できなかったと考えざるを得ない」と述べ、「現時点で言えることは、この初回ミッションですでに多くのことを達成した点を非常に誇りに思うということだ」と語っていた。

着陸船は月面から90メートルの地点まで接近した後、日本時間26日午前1時40分ごろ自律着陸する予定だった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)とタカラトミー、ソニーグループ、同志社大学が共同開発した超小型自走ロボットや日本特殊陶業5334.Tの固体電池など7つの荷物を積み、安定した通信と電力供給を確立するとともに、搭載機器の運用能力を実証する計画だった。

着陸後のデータ送信を条件に、一部取引先から最大約1億0600万円の売り上げが入る予定だったが、計上できない可能性がある。2024年3月期の業績予想をすぐに修正すべき規模ではないとしている。また、月面着陸を達成できなかったことで、保険金を受け取る可能性があるという。

今回は同社の月探査計画「HAKUTO―R」の初回ミッションだった。着陸船は昨年12月、米民間企業スペースXのロケットで米フロリダ州から打ち上げられ、今年3月に月を周回する軌道に入っていた。

24年に予定する2回目は月面探査車の走行性などを検証し、25年の3回目は米航空宇宙局(NASA)の有人月探査計画「アルテミス」にも関わる計画にしている。

関連情報

▽民間初の月着陸失敗、アイスペースCEO「次に向けた大きな一歩」…データ獲得を強調<読売新聞オンライン>2023/04/26 11:16