[北京/キーウ/ワシントン 26日 ロイター] – 中国の習近平国家主席は26日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行った。国営メディアによると、習主席は、ウクライナに特別代表を派遣し、全ての当事者と協議し危機の解決を目指す方針を示した。ロシアの侵攻開始後で初の会談となる。

中国国営放送CCTVによると、習主席は、中国が和平交渉の推進に注力し、可能な限り早急な停戦に向け努力すると言明。さらに「国連安全保障理事会の常任理事国として、さらに責任ある主要国として、傍観することも火に油を注ぐことも、ましてや利益を追求することもない」と語った。

ゼレンスキー大統領も、習主席と1時間にわたる電話会談で「習近平国家主席と長く有意義な電話会談を行った」と確認。「この電話会談、特別代表の任命が、二国間関係の発展に強力な弾みになると信じている」とした。

さらに「ウクライナにとり公正かつ持続可能な平和の達成に向けた協力の可能性」の方法を巡り協議したと明らかにした上で、「領土の妥協や犠牲の上に平和はあり得ない」と言明。「ウクライナの領土保全は1991年の国境に基づき回復されなければならない」と述べた。

中国外務省当局者は、習主席がゼレンスキー大統領と電話会談したことは、国際問題に対する中国の客観的で公平な立場と、大国としての責任感を示すとし「中国がウクライナ危機解決のために行ったことは公明正大だ」と述べた。

ゼレンスキー氏は定例ビデオ演説で「中国の政治力を使い、平和を築くための原則と規則を強化する機会がある」とし、「ウクライナと中国は世界の絶対多数と同様、国家主権と領土保全に関心がある」と述べた。

また、5月18日に期限を迎える黒海経由の穀物輸出合意の延長を巡り、習氏が「支持する言葉」を述べたと明らかにした。

習氏とゼレンスキー氏の電話脳会談について、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は歓迎するとしつつも、和平交渉につながるかどうかを判断するには時期尚早と指摘。今回の電話会談が「何らかの意味のある和平に向けた動き、計画、提案につながるかどうか、今はまだ分からない」とした。

また「交渉による和平があるとすれば、ゼレンスキー大統領の準備が整った時でなければならない」とし、米国は「和平が持続可能で信頼できるものである限り、公正な和平に至るあらゆる取り組み」を歓迎するとした。

ロシア外務省のザハロワ報道官は「交渉プロセス確立に取り組む用意が中国側にあることに留意する」とコメントした。