[北京 2日 ロイター] – 中国の李輝ユーラシア事務特別代表は2日、ウクライナ和平を促進するために行った先の欧州訪問について記者会見を行い、すぐに結果が出ない可能性があるとしながらも、中国政府が再び代表団の派遣を検討していると明らかにした。

李氏はウクライナ戦争の外交的解決に向けた共通の基盤を模索するために先月、12日間かけてキーウ、ワルシャワ、パリ、ベルリン、ブリュッセル、モスクワを訪れた。

記者会見で、ロシアがウクライナ領の一部を占領したままの状態で停戦を中国が推進したとする報道を否定し、中国は緊張緩和に向け「あらゆることを行う」と表明した。

その上で、ウクライナとロシアが共通認識を見出すには高いハードルがあると指摘。「双方の立場に大きな隔たりがあると感じた。現時点で全ての側が交渉を始めるには多くの困難がある」とし、「中国はウクライナ危機の解決に向けた対話のために、関係国に代表団を再度派遣することを積極的に検討する」と述べた。ただ、どの国に派遣するかについては明らかにしなかった。

また「ロシアとウクライナの戦争が激化するリスクはまだ高い」と述べ、核施設の安全性を確保するために双方が「状況を沈静化させる」具体策を講じる必要があると指摘。「状況の緩和に役立つなら中国は何でもするつもりだ」と強調した。

ロシアはウクライナ危機の平和的解決を目指す中国の意欲と取り組みを高く評価しているとしたほか、ウクライナもロシアも対話の扉を固く閉ざしたわけではないとの認識を示した。

中国は2月、12項目から成るウクライナ和平案を公表。民間人の保護や全ての国の主権の尊重などを呼びかけた。

李氏の今回の欧州歴訪に詳しいフランスとドイツの当局者によると、李氏は中国政府が公表した和平案の論点に沿って協議を行ったほか、ウクライナに兵器を供与して危機を拡大させた米国の役割を強調した。フランスの当局者は「中国が仲介役になるとは考えていないが、ロシアに対する影響力を行使し、理解させる手助けはできる可能性がある」と述べた。

李氏は2009─19年に中国の駐ロシア大使を務めた。