[北京 15日 ロイター] – 北京に本部を置くアジアインフラ投資銀行(AIIB)のグローバル広報責任者だったカナダ人のボブ・ピカード氏は15日、AIIBが「共産党に支配されている」と批判して辞任した後、中国から出国するよう助言を受けたと明らかにした。

助言した人物については明かさなかった。

ロイターの電話インタビューに応じ、「できるだけ早く出国した」と述べ、辞表を今週提出した後に日本に逃れたと説明。「中国にはすぐに足を踏み入れないようにと助言されている」とも語り、過去に中国で3年近く拘束されたカナダ人を引き合いに、自身も含めてやや敏感になっている可能性があると述べた。

AIIBは14日、ピカード氏の辞任を受け入れたとした上で、同氏の批判を「根拠がなく、残念だ」と表明。さらなるコメント要請には応じなかった。

カナダのフリーランド財務相は14日、AIIBとの関係を凍結すると発表。AIIBが中国共産党に支配されているとの疑惑について調査する。

<「カナダの国益にならず」>

ピカード氏は、AIIBによってカナダに国益がもたらされるとは思わないと明言。「最終的にカナダへの利益よりも中国への利益が大きいこの組織にわが国の納税者が資金を提供すべきではないと感じている」と述べた。

また、守秘義務契約により具体例を挙げることは避けながら、「(共産)党員の権力が(AIIBの)コミュニケーション能力を妨げていると感じた」と語った。

ビジネス向け交流サイト(SNS)「リンクトイン」のプロフィールによると、広報分野の経験が豊富なピカード氏は2022年3月にAIIB入りした。