【サンフランシスコ時事】米政府高官は17日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で採択された首脳宣言にロシアのウクライナ侵攻が盛り込まれなかった理由について、「ロシアと中国の参加を踏まえると、合意に至るのは難しかった」と述べ、中ロが難色を示したと批判した。時事通信の取材に語った。

 高官は「(中ロは)こうした会議を利用して、非常に重要な問題から注意をそらそうとしてきた」と指摘。ウクライナ侵攻がアジア太平洋地域を含む世界の経済に影響を及ぼしていることから、大半のAPECメンバーは侵攻に関する議論に言及することが重要だと感じていたと説明した。

 首脳会議を受けて議長国の米国は、宣言とは別に「ほとんどのメンバーがウクライナ侵略を強く非難した」と明記した議長声明を発表した。議長国の権限でまとめることができる議長声明は、人道状況の悪化が続くパレスチナ自治区ガザ情勢を巡る議論にも言及し「一部の首脳は首脳宣言に盛り込むことに反対した」と記したが、この経緯について高官は説明しなかった。