▽米、ヨルダン基地攻撃受け「必要な行動取る」 イランと戦争は望まず<ロイター日本語版>2024年1月30日午前 7:56 GMT+9

Idrees AliPhil Stewart

米国防長官「必要なあらゆる行動取る」、無人機攻撃で米兵死傷受け

[ワシントン 29日 ロイター] – オースティン米国防長官は29日、ヨルダンの米軍基地へのドローン(無人機)攻撃で米軍兵士が死傷したことを受け、米国と米軍を守るために「必要なあらゆる行動を取る」と言明した。同時に、政権当局者らはイランとの戦争を求めていないとも強調した。

ヨルダン北東部の米軍基地で起きたドローン攻撃では米兵3人が死亡し、少なくとも34人が負傷した。バイデン大統領は声明で、シリアとイラクで活動する過激な親イラン武装勢力による犯行の可能性があるという見解を示した。 もっと見る

オースティン長官は国防総省で北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と会談。冒頭で「バイデン大統領と私は米軍への攻撃を容認しない。米国と米軍を守るために必要とされる全ての行動を取る」と述べた。

ストルテンベルグ氏は「イランはこの地域を不安定化させ続けており、紅海でわれわれの船舶を攻撃するテロリストを支援している」と述べた。

ブリンケン米国務長官は「大統領が昨日述べた通り、われわれは反撃する」と言明。反撃は複数段階に分けて行い、一定期間続く可能性があると述べた。

ただ、政権当局者らは緊張激化を望まないとも強調。国防総省のシン報道官は「米国は戦争を全く望まず、イランが米国との戦争を望んでいるとも思わない」と記者団に述べた。

国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官も、バイデン大統領が対応の選択肢を検討しているとした上で「軍事的な形でイラン政権との衝突を求めているわけではない」と強調した。

今回のドローン攻撃を受けた「タワー22」と呼ばれる施設には当時約350人の兵士がおり、米国はなぜ阻止できなかったのか原因を解明している。

当局者によると、攻撃に使われたドローンの接近と同じころに米国のドローンも基地に近づいていた。また、攻撃ドローンが低空を飛行をしていたことで発見できなかった可能性もあるという。

国防総省のシン報道官は、イラクの親イラン勢力「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ)」が関与した痕跡があるが、まだ断定はしていないと述べた。

ホワイトハウスによると、バイデン大統領は29日朝、ホワイトハウスの状況分析室でオースティン長官のほか国家安全保障チームのメンバーとの会合を開き、最新の状況について協議した。

専門家によると、選択肢としてはイラン国内もしくは国外のイラン部隊に対する攻撃、または攻撃に関与した親イラン武装勢力のみを標的としたより慎重な攻撃などがあり得る。

有識者は、イラン国内のイラン軍に対する攻撃が行われればイランが強硬に対応することで事態がエスカレートし、米国が中東の大規模な戦争に巻き込まれる可能性があると警告している。

英国のスナク首相は、中東での緊張の高まりに懸念を表明し、イランに対し緊張を緩和させるよう呼びかけている。 もっと見る