▽ウクライナ軍、東部要衝アブデーフカから撤退 プーチン氏「重要な勝利」<ロイター日本語版>2024年2月18日午後 5:11 GMT+9

ウクライナ軍、東部要衝アブデーフカから撤退 弾薬不足の中

[キーウ 17日 ロイター] – ウクライナ軍のシルスキー総司令官は17日、激しい戦闘が続く東部ドネツク州の要衝アブデーフカから部隊が撤退したと明らかにした。ロシアのプーチン大統領はアブデーフカ制圧を「重要な勝利」と呼んで兵士らをたたえた。

ロシアにとって同州バフムトを掌握した昨年5月以来の大きな戦果となった。ただ、ロシア国防省によると、アブデーフカのコークス工場にはなおウクライナ軍部隊が残っている。

米国のウクライナ軍事支援が議会の対立で遅れる中、ウクライナは深刻な弾薬不足に直面。

シルスキー氏は軍の声明で、「包囲を回避し兵士の命と健康を守るため、部隊を撤退させ、より有利な戦線からの防衛に移ることを決めた」と述べた。

ロシア大統領府はプーチン氏が「今回の成功、重要な勝利を果たした軍の兵士らをたたえた」との声明を出した。

バイデン米政権は15日、弾薬不足でアブデーフカが陥落の危機にあるとの認識を示していた。

ホワイトハウスは17日の声明で、バイデン氏が同日にウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談し、支援継続の決意を強調したと発表。米議会がウクライナ軍事支援を盛り込んだ緊急予算案を早急に可決する必要があると改めて指摘した。

ロシア軍はアブデーフカの北西端にあるコークス工場を完全に掌握していないもよう。国防省のコナシェンコフ報道官は通信アプリ「テレグラム」に投稿した動画で、コークス工場に残るウクライナ軍部隊に言及し「アブデーフカから一掃するための措置を講じている」と述べた。

  <ゼレンスキー氏は安保会議で追加支援訴え>

ゼレンスキー氏はドイツで開催された「ミュンヘン安全保障会議」に出席。ウクライナ軍の部隊がアブデーフカでロシア軍を「消耗させた」と称賛する一方で、欧米諸国に軍事支援の強化を訴えた。同国軍は兵器の補給や、ロシア軍が所有するような長距離兵器が不足していると強調した。

また、ミュンヘンで米下院の超党派議員団と面会したと明らかにし、下院がウクライナ追加軍事支援を承認することを望んでいると述べた。「われわれはこの戦争に勝利する必要がある」と語った。