大谷翔平選手の通訳・水原一平氏の賭博疑惑が大騒動を巻き起こしている。右腕の手術、ドジャースへの移籍、結婚報告と絶えず大リーグの話題を独り占めにしてきた大谷に忍び寄る暗い影。“野球ギフテッド”とも言うべき大谷が直面した人生最大の危機だ。米スポーツ専門局のE S P Nが行った一平氏のインタビュー。これを読んで大谷の未来に黒い影がさし始めたような気がした。「450万ドルの肩代わりを了解してくれた」「2人でP Cから50万ドルずつ胴元に8回から9回送金した」、リアリティーのある一平氏の証言には、まるで大谷が賭博に関わっていたかのような雰囲気がある。一平氏は大谷にとって単なる通訳ではない。コーチであり、相談相手であり、日々の生活を支える“伴侶”のような存在だ。一平氏の苦境をなんとかしてあげたい、そんな気持ちから「善意の肩代わり」は行われた。いつまでたっても「野球少年」一筋の大谷には、そんなイメージが付き纏う。

個人的に抱いたそんな暗雲が、20日の開幕戦終了直後に一変する。球団が一平氏を窃盗容疑で警察に告発、それに合わせるように彼を即座に解雇したのだ。これを受けてE S P Nは本国から再度一平氏に電話取材。インタビューで「嘘をついたのか」と確認する記者に彼は「そうだ」と回答する。記者が「(あなたに)盗難または横領の疑いがかけられているが」と問うと、「コメントしないように言われている」とコメント。なんとも微妙な発言をしている。E S P Nは記事の最後に「大谷は何が起こっているか理解していなかったということだ」と広報担当者の発言を引用している。水面下の動きは腑に落ちないことだらけ。とはいえ、事態は大谷の関与を否定する方向に動き出す。関与があったとしても情をベースにした負債の肩代わりに過ぎない。それでもカリフォルニア州の法律に触れることは間違いない。日本のメディアはそこを懸念してあることないこと、いつものように憶測・推測だけの報道合戦を繰り広げている。

そんな中でロサンゼルス・タイムズ紙は22日、「大人になれ」と題したコラムを掲載、「沈黙は臆測を招く」と大谷に記者会見を求めた。メディアが記者会見を要求する理屈は理解できる。記者会見は関与していないことを証明する場として利用することも可能だ。だが、「大人になれ」という言い方が気にいらない。大谷の良さはいつまで経っても「野球少年」に徹していることだ。言葉は悪いが「野球バカ」と言ってもいいだろう。ギフテッドは特定の分野に並外れた才能を示す。だが、それ以外の分野では普通の人以下というケースが多い。野球一途で少年のような心を持っている野球ギフテッド、だからこそ大谷は世界中のファンに感動を与え、野球の可能性を広げているのではないか。そんな野球少年に大人になれと諭す。メディア特有の上から目線の物言いだ。自己責任をベースにあらゆる点で完璧な“人格者”になれと要求する。類い稀な「野球ギフテッド」を守るのは“立派”な大人達の役割だろう。

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