28日に行われたトランプ大統領とゼレンスキー大統領の首脳会談は、大袈裟に言えば首脳会談史上かつて見たこともない異例の展開となった。最終的には両首脳が喧嘩腰で怒鳴り合い、トランプ大統領がゼレンスキー氏をはじめウクライナ代表団にホワイトハウスからの退去を求めた。予定されていた鉱物資源の権益を定めた合意文書の調印は見送られ、ランチも記者会見も中止になった。通訳を入れなかったゼレンスキー大統領、事務的なミスが混乱の一因か。これでトランプ氏が推進している停戦の先行きもわからなくなった。それ以上にウクライナはこの先どうなるのか。欧州各国首脳にのしかかる圧力。会談自体は約50分間行われた。場所は記者同席の大統領執務室。大雑把に言えば前半の40分は友好的。最後の10分でバンス副大統領をはじめトランプ政権側の堪忍袋の尾が切れた。主要メディアは最後の10分に焦点を当てる。個人的には混乱の原因はゼレンスキー氏にあるとみる。

会談内容を映像で見たわけではないが、NHKが2日付でネットに掲載した全文を読んだ。会談の全容をわかりやすく要約したのが上記の見出し。個人的にはゼレンスキー氏を全面的に支持してきたつもりだが、ここまできてしまうと致し方ない。残念ながら“辞任”という言葉を使わざるを得なかった。2014年のロシアによるクリミヤ半島併合から8年、2022年2月にプーチンは特別軍事作戦と称してウクライナに軍事侵攻した。この直前まで北京で冬季五輪が開催されていた。オリンピックの陰に隠れて目立たなかったが、プーチンはバイデン大統領(当時)に盛んに会談を求めるサインを送っていた。バイデン政権はこれを無視した。今度の首脳会談でトランプ氏は何度かこの点に触れていた。「私が大統領だったらこの戦争は起きなかった」。バイデン氏がプーチンのサインを無視した理由は何か。個人的には金融と産軍複合体からなるDS(ディープ・ステート)への配慮ではなかったか。いずれにしてもこの戦争、最初から何かがズレまくっていた。

「第三次世界大戦は起こさない」、長距離兵器の提供を渋ったバイデン氏の狙いは?同氏はオバマ政権の副大統領時代からウクライナに権益を持っていた。これが同国を強力に支援する要因だったのでは?これはある意味で“私益”だ。トランプ氏は同盟国でもNATO加盟国でもないウクライナ支援に疑問を抱いてきた。それを解消しウクライナを支援する根拠が鉱物資源の権益確保。ウクライナに米国としての“公益”を確保することが、納税者や国民に対する巨額軍事支援の説明になる。これに対してゼレンスキー氏は、執拗に安全保障の確約を求めた。日本流に言えば安保ただ乗り論。唯一の論拠は「価値観の共有」。事前に調整済みの首脳会談としては異例の展開だ。これがトランプ政権の怒りをかった。決裂は決裂、問題はこの先。ゼ氏は会談のあと直接英国に飛んだ。スターマー氏は間髪を容れず欧州首脳会談を主宰した。経済同盟に過ぎないE U、ブレグジットの英国。欧州は本気で政治同盟の結成に動くのか、歴史は大きな分岐点を迎えている。