工藤彩香

 【ベルリン=工藤彩香】ロシアは5月1日から、ロシアのパイプラインを経由する中央アジアのカザフスタンからドイツへの原油供給を停止する。「技術的な制約」が原因だと説明しているが、中東情勢の緊迫化で原油確保が課題となる中、ウクライナ支援を強化するドイツに揺さぶりをかける狙いがありそうだ。

 ドイツは、ロシアと欧州をつなぐ「ドルジバ・パイプライン」経由でカザフ産原油を輸入している。タス通信によると、アレクサンドル・ノバク露副首相は22日、「ドルジバ経由でドイツへ送られていたカザフ産原油は、別のルートに振り向けられる」と説明した。

【地図】ドルジバ・パイプラインの輸送網

 この措置について、カザフのエネルギー相は22日、ロシアのエネルギー施設に対するウクライナの攻撃が影響しているとの見方を示している。

【グラフ】ドイツの主な原油調達先

 ドイツはウクライナとの連携を強化している。14日のウクライナとの政府間協議で、両国関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げすることを決定。独政府が迎撃ミサイル数百発分を資金援助し、攻撃用の中長距離無人機を共同生産することでも合意している。

 ドイツはロシアのウクライナ侵略を受け、露産原油への依存を減らすとともに供給源の多角化を進めた。独連邦統計局によると、侵略前の2021年に輸入量の約3割を占めていた露産原油は年々減少し、25年にほぼゼロとなった。カザフ産は数ポイント増の14%(約1000万トン)まで増加した。

 ロイター通信によると、このうちドルジバ経由のカザフ産原油は前年比44%増の約215万トンに上り、独北東部ブランデンブルク州シュウェットの製油所でガソリンや灯油などに精製されている。独DPA通信によると、この製油所は首都ベルリンと同州で流通する燃料の約9割をカバーしている。

 ドルジバ経由のカザフ産原油の輸入停止により、燃料不足や価格高騰への懸念が出ているが、独政府報道官は22日、「製油所の操業に大きな影響はない」と強調した。同製油所は独北部ロストク港やポーランド北部グダニスク港からも原油を運び入れており、両港経由の輸入を増やすことで影響を抑制できるとみている模様だ。

 一方、ロシアは、ドイツなどが露産原油の輸入を拒んでいると批判しているほか、ドイツなど欧州による支援がウクライナでの戦争を長引かせているとの主張を続けている。