• ブレント原油は111ドル超まで上昇、イラン提案への米対応を見極め
  • 原油高でインフレ期待上昇、米利下げ観測が後退
OpenAI-linked stocks fall.
OpenAI-linked stocks fall.Photographer: Gabby Jones/Bloomberg

28日の米株式相場は下落。テクノロジー大手の売りが相場全体を押し下げた。人工知能(AI)への巨額投資が見合う成果を生むのかとの懸念が再燃する中、大型株の決算発表を控えて慎重な動きとなった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数7138.80-35.11-0.49%
ダウ工業株30種平均49141.93-25.86-0.05%
ナスダック総合指数24663.80-223.30-0.90%

  今月の株式相場の上昇をけん引してきた同業界は、OpenAIが新規ユーザー獲得や売り上げ目標を達成できなかったとの報道を受けて下落した。これにより、AIインフラへの巨額投資を継続できなくなる可能性を巡り、社内で懸念が高まっているという。オラクルやコアウィーブといったパートナー企業も値下がり。前日に最高値を更新していたS&P500種株価指数は反落。ナスダック100指数は1%下げた。

  ウォール・ストリート・ジャーナルによると、OpenAIは競合のアンソロピックがコーディングや企業向け市場で存在感を高める中、2026年に複数の月で売上高目標を下回った。

  こうした中、S&P500種の約4分の1を占める大型テクノロジー企業が決算発表を控えている。アルファベット、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズは29日に発表予定で、アップルが30日に続く。

  モンティス・ファイナンシャルのデニス・フォルマー氏は、株価以上に企業業績の期待が急速に高まっている市場では、人工知能(AI)関連の需要や設備投資を巡るわずかなつまずきでも、この1カ月の上昇の持続性に対する見方が揺らぐ可能性があると指摘。「投資家にとって最も重要な問いは、AIという追い風が市場を引き続き押し上げられるかどうかだ」と述べた。

  明るい材料としては、テクノロジー企業の業績はイラン戦争による混乱の影響をおおむね免れている点がある。ブルームバーグ・インテリジェンスの集計によると、同セクターの業績は第1四半期に41%増が見込まれている。

  一方、イランと米国の和平交渉が長期化し、ホルムズ海峡の閉鎖が長引くとの懸念から、北海ブレント原油は1バレル=111ドル前後まで上昇した。

  イランが米国に対し、和平交渉が続く間はホルムズ海峡の封鎖を解くよう要請してきたと、トランプ米大統領が明らかにした。CNNが仲介プロセスに近い筋の情報として報じたところによると、仲介役を務めるパキスタンは向こう数日以内に、イランが和平の修正案を提出すると見込んでいる。

  4月の消費者信頼感指数は予想に反して小幅上昇した。経済の先行きに対して楽観的な見方が広がった。

  JPモルガン・チェースやウォール街の競合各社が好調な四半期決算を発表したものの、JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は「壊滅的というわけではないが、プライベートクレジットは人々の予想よりも悪化するだろう」と述べた。

国債

  国債は下落。原油価格の持ち直しがインフレ期待を押し上げ、利下げ観測を後退させた。

  来年末までの利下げ観測が弱まり、短中期債の利回りが上昇した。金融政策の変化に敏感な2年債利回りは一時3.85%を上回り、4月7日以来の高水準となった。ただ、米国債利回りの上昇幅は大半の欧州国債よりも小幅だった。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.93%-1.6-0.31%
米10年債利回り4.34%0.10.03%
米2年債利回り3.83%3.50.91%
米東部時間16時56分

  この日から2日間の日程で米連邦公開市場委員会(FOMC)定例会合が始まった。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長にとって最後となる見通しのこの会合では、昨年12月以降据え置いている政策金利を3.5〜3.75%で維持するとの見方が支配的だ。

  BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者、イアン・リンジェン氏はリポートで、「エネルギー価格の上昇が引き続き米金利の方向性を左右している」と指摘。原油価格は「インフレへの懸念が高まる転換点に近づいている。その結果、米国債市場の地合いはやや弱気だが、値動き自体は比較的落ち着いている」と述べた。

  原油価格は3月の高値をなお下回っているものの、市場が示唆する主要なインフレ期待は数カ月ぶりの高水準にある。こうした動きは、仮に労働市場が悪化しても、FOMCが利下げに慎重になる可能性が高いことを示している。

  米消費者物価指数(CPI)の5年物スワップレート(同期間の平均CPI上昇率の期待を示す)は27日に2.7%を上回り、2025年8月以来の水準となった。

  FOMCの政策決定日に連動するスワップレートも上昇し、利下げ見通しがさらに後退。年内に0.25ポイントの利下げが実施される確率を約2割と織り込んでいる。年初時点では2回の利下げを完全に織り込んでいた。

  米司法省が先週、FRB本部改修費の超過を巡る捜査を打ち切る方針を示し、トランプ大統領が次期FRB議長に指名したケビン・ウォーシュ氏の承認に向けた道が開かれた。ウォーシュ氏は先週の承認公聴会で独立性を保つと繰り返し表明した一方、金利はより低い水準であるべきだとこれまでに述べている。

  ネッドグループ・インベストメンツの債券部門責任者、デービッド・ロバーツ氏は、「パウエル議長が退任すれば、ウォーシュ氏はFOMCを利下げに向かわせる可能性が高い」と述べた。金利低下への期待により、主要7カ国(G7)の国債利回りは約30〜50ベーシスポイント低下する可能性があると指摘した。

  7年債入札では落札利回りが4.175%と、ニューヨーク時間午後1時の締め切り直前の入札前取引の水準を約0.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回った。

  27日の2年債および5年債の入札でも、落札利回りは予想をやや上回り、需要の弱さを示した。ただ、いずれの入札も前月と比べれば改善が見られた。

外為

  外国為替市場では、ドル指数が国債利回りと共に上昇した。原油価格の上昇で米利下げ観測が後退し、日銀の金融政策決定を受けていったん強含んでいた円は下げに転じた。

  対ドルの円相場はニューヨーク時間午前8時前に1ドル=159円79銭まで下げた後、159円台半ばから後半で推移した。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1197.821.950.16%
ドル/円¥159.60¥0.180.11%
ユーロ/ドル$1.1712-$0.0009-0.08%
米東部時間16時57分

  クレディ・アグリコルのG10通貨調査責任者、バレンティン・マリノフ氏は「中東情勢が再び激化するとの懸念が強まる中、アラブ首長国連邦(UAE)の石油輸出国機構(OPEC)脱退の決定は、市場の不透明感を一段と高める可能性がある」と指摘。「市場の不安がなお拡大する中、ドルはごく短期的には引き続き下支えされる可能性がある」と述べた。

  マン・グループのクリスティーナ・フーパー氏は「戦争が5月末までに終結しない可能性や、ダメージの解消にさらに時間がかかるのではないかと懸念している」と語った。

  バンク・オブ・ナッソー1982のチーフエコノミスト、ウィン・シン氏は「日銀がタカ派的な現状維持を決めたにもかかわらず、円は下落した」と指摘。「イラン情勢の不確実性が依然高いため、日銀(および主要中銀)が今週、なぜ政策を維持する可能性が高いかを理解できる」と述べた。

原油

  原油相場は上昇し、米国とイランの停戦合意直前以来の高水準となった。市場は、戦争終結とホルムズ海峡再開に向けたイランの提案への米国の対応を見極めようとしている。

  ブレント原油は1バレル=111ドル超で引け、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は3.7%上昇し、100ドル弱で取引を終えた。トランプ米大統領はSNSへの投稿で、イランが米国に対し、ホルムズ海峡の海上封鎖解除と「可能な限り早期」の再開を求めていると記した。

  これに先立ち、原油は上げを縮める場面があった。アラブ首長国連邦(UAE)は、5月1日付で石油輸出国機構(OPEC)から脱退すると発表。市場では、イラン戦争終結後にUAEは自由に増産可能になるとのシグナルと受け止められた。

  「短期的には、金融市場はホルムズ海峡の状況と原油現物の供給逼迫(ひっぱく)に引き続き注目するだろう」と、ブルームバーグ・インテリジェンスのシニアアナリスト、サリフ・ユルマズ氏は指摘した。その上で、「ホルムズ海峡が再開され、さらにUAEがどの程度の速さで増産するか次第で、ようやく注目はファンダメンタルズへと戻るとみている」と述べた。

  イランは、海峡の再開に向けて封鎖解除と引き換えに暫定合意を受け入れる用意がある可能性を示唆している。核開発計画を巡るより複雑な交渉は後回しとし、イランはホルムズ海峡の航行に対して一定の統制を維持することを求めている。

  UAEのOPECからの離脱は同グループの結束を一段と弱める。「サウジアラビアやロシアといった主要産油国も増産に踏み切れば、世界の原油市場に大きな波及効果をもたらす可能性がある」と、キャピタル・エコノミクスのチーフ・コモディティーズ・エコノミスト、デービッド・オクスリー氏は指摘。また、「最終的には、原油価格の下押し要因となる一方で、今後数十年にわたって原油市場の変動性を高める可能性がある」と付け加えた。

  それでも、UAEのOPEC離脱という歴史的展開に対する市場の反応は比較的落ち着いており、これは現物市場の極端な逼迫を反映している可能性が高い。ブレント原油は、一時約2ドルの上昇分を削った後に持ち直した。和平努力が停滞する中、投資家はホルムズ海峡の長期閉鎖を織り込まざるを得なくなっている。シティグループやモルガン・スタンレーなどの金融機関は今週、世界的な供給減少の深刻化を受け、再び価格見通しを引き上げた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は、前日比3.56ドル(3.7%)高の1バレル=99.93ドルで終了。北海ブレント先物6月限は3.03ドル(2.8%)上昇し111.26ドルで終了した。より取引が活発な7月限は2.7%上昇し、104.40ドルで引けた。

  金は下落。米国とイランの戦争を巡り交渉による解決を探る動きが続く中でも、ホルムズ海峡は依然として航行の大半が閉ざされた状態にある。エネルギー供給の逼迫(ひっぱく)が長期化し、インフレリスクを高めるとの懸念が意識された。

  金スポットは一時2.7%下落し、1オンス当たり4600ドルを大きく下回った。イランは重要な海上交通路の再開に向け、米国がイランの港湾封鎖を解除することと引き換えに暫定合意を受け入れる用意がある可能性を示唆しているが、トランプ氏はこの提案に満足していないとニューヨーク・タイムズ(NYT)が報じた。原油は上昇基調を維持した。

  8週間に及ぶ紛争によるエネルギー供給ショックはインフレリスクを一段と高め、中央銀行が政策金利をより長く据え置く、あるいは引き上げる可能性を押し上げている。これは利回りを生まない金にとって逆風となる。金は2月末に紛争が始まって以降、13%超下落している。

  「原油価格の上昇が続けば、市場参加者は3月中旬と同様に、再び利上げを織り込む可能性すらある」と、コメルツ銀行のアナリストは28日のリポートで指摘した。「その場合、金価格は当時と同様、1トロイオンス当たり4500ドルに向かって下落する可能性がある」と加えた。

  スポット価格はニューヨーク時間午後2時15分現在、前日比85.42ドル(1.8%)安の1オンス=4596.66ドル。 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は85.30ドル(1.8%)安の4608.40ドルで引けた。

原題:Stocks Fall as Report on OpenAI Fuels Tech Jitters: Markets Wrap(抜粋)

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