• 北海ブレント原油、一時120ドル超える場面も-米・イラン対立続く
  • 大手テック4社が通常取引終了後に決算発表、メタが時間外で下落
NY証券取引所のモニター
NY証券取引所のモニターPhotographer: Michael Nagle/Bloomberg

29日の外国為替市場ではドル指数が上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を据え置いたものの、中東紛争を巡る不確実性の中で政策見通しを巡る意見の対立が深まっていることが示され、上げ幅を拡大した。

  円は対ドルで、節目の1ドル=160円を下回った。終盤に一段安となり、2024年7月以来の安値となる160円47銭に下落した。年初来安値の160円46銭を超えて円安・ドル高が進行した。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1200.862.990.25%
ドル/円¥160.14¥0.520.33%
ユーロ/ドル$1.1688-$0.0024-0.20%
米東部時間16時54分

  マネックスの外国為替トレーダー、アンドリュー・ハズレット氏はドルの「160円を上回る上昇が比較的ゆっくりしていれば、日本当局は162円に近づくまで介入を見送る可能性が高い。162円が新たな介入ラインになりつつある」と指摘した。「162円に近づく局面ではレートチェックや『口先介入』が行われ、その水準を超えれば実際の円買い介入に踏み切る可能性がある」と述べた。

Fed Chair Powell Holds News Conference Following FOMC Rate Decision
パウエルFRB議長出典:ブルームバーグ

  FOMC声明発表前は原油価格の上昇がドルを支えた。声明発表後は2027年の利上げ予想が強まった。

   CIBCキャピタル・マーケッツのサラ・イング、ノア・バファム両氏は「利下げまでの道筋はやや遅れる可能性があるものの、FRBの次の一手は利下げになるとの見方を維持している」と記述。「FRB政策の行方は戦争の展開に大きく左右され、市場参加者の見方も大きく分かれている」とした。

  両氏はドルがさらに下落するとの見通しを示した。

  さらに「インフレリスクはやや高まっているものの、正常化への回帰が続くとの見方を維持している」と述べた。

  米上院銀行委員会はトランプ大統領が連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に指名したケビン・ウォーシュ元FRB理事を賛成多数で承認した。これによりパウエル現議長の議長としての任期が切れる5月15日までに、上院本会議での採決が行われる見通しとなった。

国債

  国債は下落。10年債利回りは1カ月ぶり高水準となった。FOMCが金利を据え置き、イラン戦争が経済見通しを曇らせているとの認識を示したことを受け、売りが優勢になった。2年債利回りは一時、FOMCの政策決定日としては2022年以来の大幅上昇となった。

  中東紛争の終結が見通せない中、短期金融市場では年内の利下げ観測がほぼ消滅し、2027年の利上げの可能性を織り込み始めた。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.97%3.70.75%
米10年債利回り4.39%4.61.06%
米2年債利回り3.89%5.11.34%
米東部時間16時54分

  FOMC声明では文言を若干修正し、「中東情勢は経済見通しに関する不確実性の高さにつながっている」と記述。FF金利誘導目標レンジに対する「追加的調整の程度とタイミング」に関する文言は維持した。

  今回の会合では、意見の対立が一段と深まっていることも明らかになった。FOMCはクリーブランド連銀のハマック総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、ダラス連銀のローガン総裁について、「フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジ維持は支持したが、現時点で緩和バイアスを盛り込むことには賛成しなかった」と説明した。マイラン理事は0.25ポイントの利下げを支持し、決定に反対票を投じた。

  パウエルFRB議長は、議長としての任期が終了した後も、理事としてFRBにとどまる考えを示した。

  エドワード・ジョーンズのアンジェロ・クルカファス氏は「声明文を巡る3人の反対は、インフレがより長く高止まりする可能性に備える中で、ややタカ派寄りの傾きを示している」と指摘した。「FRBは今後数カ月にわたり、紛争の展開を見極めながら、しっかりと据え置き姿勢を維持するとみている」と述べた。

  LPLファイナンシャルのジェフリー・ローチ氏は「パウエル議長にとって異例の展開として、3人の地区連銀総裁が異議を唱えたが、金利決定そのものではなく、その伝え方を巡るものだった」と指摘。「新たなFRB議長が新しい政策枠組みを導入しようとする中で、さらなる緊張が予想される」と述べた。

  さらに、先物市場で利上げの可能性が再び織り込まれているのは驚くことではないと指摘。「最終的には、中東紛争が明確に終結するまで、不確実性は残り続けるだろう」と述べた。

  ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ氏は「FRBは明らかに難しい立場に置かれている。2026年にかけて利下げを進める方針だったが、イラン戦争とそれに伴う原油価格の急騰が、早期の利下げの障害となっている」と指摘した。

  グレンミードのジェイソン・プライド氏は、紛争が緩和し、エネルギー価格がコアインフレに大きく波及しなければ、年後半に1〜2回の利下げが行われるとの見方は依然として基本シナリオとして妥当だと述べた。ただ、見通しの幅は広がっていると付け加えた。

株式

  株式は不安定な動きとなり、S&P500種株価指数はほぼ変わらず。大半の構成銘柄が下落したものの、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトの決算発表を控え、テクノロジー株は相対的に堅調だった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数7135.04-3.76-0.05%
ダウ工業株30種平均48982.72-159.21-0.32%
ナスダック総合指数24638.31-25.49-0.10%

  時間外取引では、メタが下落。支出見通しを引き上げたことが嫌気された。アルファベットは売上高が予想を上回り、株価は上昇した。

原油

  原油相場は続伸し、北海ブレントは2022年6月以来の高値に急騰した。米国とイランの紛争終結のめどが立たず、ホルムズ海峡を通るエネルギーの流れも遮断された状態が続いている。急速に縮小する世界の供給余力への懸念が強まっている。

  国際的な指標であるブレント原油は一時7%超上昇して、1バレル=119.50ドルを超え、イラン戦争開始以来の高値を付けた。時間外では一時120ドルを超える場面もあった。

  ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は1バレル=107ドル前後で取引された。価格は今月初めに米国とイランが一時停戦で合意して以降の下げをすべて埋め、投資家は紛争の長期化に備えている。

  和平交渉が行き詰まったことを示す兆候が複数見られた。トランプ大統領は石油関連業界の幹部との会合で、イランに対する封鎖を長期化させるために米国が取り得る措置について協議した。米アクシオスは、ホルムズ海峡を再開し、核問題に関する協議を先送りするイラン側の提案について、トランプ氏が拒否したと報じた

  みずほセキュリティーズのエネルギー先物部門ディレクター、ロバート・ヨーガー氏は、「(イラン戦争を巡る)混乱を終わらせる計画、もしくは少なくともホルムズ海峡を再開させる道筋が示されない限り、(原油)市場は上昇を続ける」と述べた。

  紛争の長期化を見込む見方が市場全体に広がり、中東からの供給の混乱を補ううえで、米国の供給力への注目が一段と高まっている。29日に公表された政府統計によると、米国の原油輸出が過去最高に急増した一方で、国内の原油在庫は減少した。

  調査会社ケプラーの政策・地政学リスク責任者ミシェル・ブルアール氏は、「(米国とイランの)にらみ合いは数週間続く可能性がある」とブルームバーグテレビジョンに語った。「最終的には、世界市場がトランプ氏に対し、もはやこの石油不足には耐えられないと突き付けるか、イラン側が自国の石油を輸出できるようにしたいと表明するかのどちらかになるだろう」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は、前日比6.95ドル(7%)高の1バレル=106.88ドルで終了。北海ブレント先物6月限は6.77ドル(6.1%)上昇し118.03ドルで終了した。より取引が活発な7月限は約6%上昇し、110.44ドルで引けた。

  金は3日続落。投資家の関心は依然として米国とイランの協議の可能性に集まっている。ホルムズ海峡の事実上の閉鎖が続き、インフレリスクを高めていることを受けて、FRBは経済見通しが不透明になっていると示唆した。

  金スポットは一時1.9%下落し、1オンス当たり4500ドル台前半で取引された。直前の2営業日で2.4%下落していた。米国はイランに対する海上封鎖を維持する方針を示し、石油輸出を断ってイランを交渉の場に引き戻そうとしている。アクシオスによると、トランプ大統領は、まずはホルムズ海峡を再開し核問題に関する協議を先送りするというイラン側の提案を拒否した。

  エネルギー価格の高騰でインフレ懸念が強まり、中央銀行が政策金利をより長く据え置く、あるいは引き上げる可能性が高まっている。この状況は、利回りを生まない金にとって逆風となる。債券利回りの上昇も、金の保有に伴う機会費用を押し上げている。2月末に紛争が始まって以降、原油が急騰している一方で、金は約13%下落した。

  サクソ銀行のコモディティ戦略責任者、オーレ・ハンセン氏はリポートで「直近の支持水準だった4650ドル前後を下抜けたことを受けて、テクニカル要因の売りが出た」と指摘した。そのうえで、「市場の当面の焦点は仲介の取り組みにあり、ホルムズ海峡の再開とそれに伴う原油の下落が、金にとって短期的な最大の上昇要因となる」と述べた。

  金スポット価格はニューヨーク時間午後2時30分現在、前日比63.74ドル(1.4%)安の1オンス=4533.01ドル。 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は46.90ドル(1.0%)安の4561.50ドルで引けた。

原題:Dollar Extends Gains as Fed Holds Rates Steady: Inside G-10(抜粋)

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