
[ワシントン 4日 ロイター] – 米労働省労働統計局が4日発表した8月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は16万2000人増加し、予想を大幅に上回った。失業率は4.1%で、前月と変わらずだった。このところ低迷していた労働市場の改善を示唆し、米連邦準備理事会(FRB)が今月利上げに動く可能性を残す内容となった。
非農業部門雇用者数は過去5カ月で最大の伸びとなった。レジャー・接客業の雇用が2カ月連続の減少から反転して回復したほか、地方政府の教育部門による下押し圧力も反転したことを反映した。
ロイター調査によるエコノミスト予想は5万6000人増。予想レンジは2万5000人減から12万1000人増と幅があった。
7月は当初の2万3000人減から2万1000人増に上方改定された。
RSMのチーフエコノミスト、ジョー・ブルスエラス氏は「米国の労働市場は年末に向けて良好な状態にある」と述べ、「今回のデータは、インフレへの忍耐力を失いつつあるFRB内のタカ派を後押しする」と指摘した。
8月までの3カ月間の月平均雇用者数増加は7万1000人で、2025年の同期間の9000人減から改善した。
8月は、業種別では、レジャー・接客業が6万2000人増加し、うちレストラン・バーは5万9000人増えた。地方政府の教育部門は前月の減少から反転し、4万2000人増加。政府部門全体では3万5000人増加し、レジャー・接客業と合わせて雇用増加分の60%以上を占めた。製造業は1万6000人増えた。
医療部門は1万3000人増加した。ただ、過去1年間の月間平均増加数である3万2000人を下回っており、数十万人のハイチ人に適用されていた「一時保護資格(TPS)」が取り消され、就労許可に影響が及んだことを反映している可能性がある。建設業は2万2000人増加した。
専門・企業向けサービスは1万人増加した。一方、情報部門は2万3000人減、金融部門も1万1000人減となり、大半が金融・保険業で失われた。エコノミストは、一部業務での人工知能(AI)導入が背景にあると分析している。
平均週労働時間は7月の34.3時間から34.4時間へと延び、2024年3月以来の長さとなった。
雇用者数の急増や失業率の低さにもかかわらず、労働市場はインフレの発生源とはなっていない。8月の賃金上昇率は3.1%と、7月の3.2%から鈍化した。
一部のエコノミストは、季節変動の調整が難しいため、7月に雇用の伸びを抑制した反動が8月の数字を押し上げた可能性があると指摘している。
さらに退職の増加や、トランプ政権の移民取り締まりによる人口増加の鈍化を背景とした労働供給の減少が、失業率を低水準に抑えている。
労働参加率(生産年齢人口のうち就業者と求職者の合計の割合)は8月に0.2%ポイント上昇し、61.6%に回復した。年初の62.1%は依然下回っている。
家計調査ベースの就業者数は8月に56万9000人増加し、2カ月連続の減少から回復した。経済的な理由でパートタイム勤務をしている人の数は41万4000人減少した。
ただ、長期失業者は増加した。27週以上失業している人の数は15万9000人増加。失業期間の中央値は7月の10.5週から11.4週へと延び、約4年半ぶりの高水準に近づいた。
金利先物市場が織り込む、FRBが9月15─16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み切る確率は約65%と、雇用統計発表前の約55%から上昇した。
キャピタル・エコノミクスの北米担当チーフエコノミスト、スティーブン・ブラウン氏は「強硬なハト派でさえ、8月の雇用統計に金利据え置きを正当化する材料を見いだすのは難しいだろう。雇用者数の急増は、医療分野を除く民間部門全般の強さに支えられたものであり、失業率も、労働参加率の大幅な回復にもかかわらず横ばいとなった」と述べた。