
片山さつき財務相は26日、横浜市内の高校に招かれて講演し、長期停滞から抜け出し、再び挑戦できる日本に転換する必要性を訴えた。「ここで立ち上がらなければ、日本がチャレンジして道を切り開いてきたことを皆さんの世代に伝えられなくなってしまう。最後のチャンスだと思っている」と危機感を示した。
片山氏はバブル崩壊後に銀行破綻が相次ぎ、日本社会でリスクを避ける傾向が強まったと分析した。「そろそろいいかと思ったらリーマン・ショックがあり、株価が大きく下落した。さらにコロナ禍があり、また怖くなった」と振り返った。

「一度怖い目に遭うとその恐怖感から抜けられず、それほど怖くないものまで恐れ、チャレンジしたりトライしたりしなくなる。それが30年続けば発展しなくなる。私たち(高市早苗政権)はそれを変えたい」と強調した。
「物価抑制を一番やっている国」
片山氏は物価高対策を巡り、「物価上昇を抑える政策を一番やっている国が日本だ」との認識を示した。日本は他の主要国と比べても「インフレを抑えるのは成功している」と述べ、燃料にかかる税負担の軽減による輸送コストの抑制を例示した。
実際、経済協力開発機構(OECD)のデータによると日本の消費者物価上昇率は今年5月に前年同月比1.5%で、先進7カ国(G7)で最も低かった。OECDは燃料や公共料金に対する政府の支援がエネルギー価格の上昇を抑えたと分析している。
「放漫財政ではない」
高市首相の経済政策については「とにかく経済を温めて大きくし、日本が抱えているいろいろな問題や閉塞感を解決していくもの」だと説明した。「責任ある積極財政」の「責任」については、「国の信用を守る。日本は国債を発行できる信用のある国で、放漫財政ではない」と語った。
令和9年度予算編成では、通常の歳出とは別に「『強く豊かな日本』投資枠」が設けられ、複数年度の計画に基づく予算措置を基本とする。片山氏は従来の単年度中心の予算編成との違いについて、「3年後に成果が出てもいい。4年後、5年後でもいい」と説明。「政府がお金を出すだけでは全然足りない。民間企業が一緒に投資する計画でなければ駄目だ」と語った。
挑戦支える「セーフティーネット」
一方、国民に挑戦を促すには生活が苦しくなった際に支える仕組みも欠かせないとの考えを示した。
「一番大変だと思う時にも、しっかり安全に守ってくれるものがある国にしたい」と強調した。「万が一、会社がつぶれても、働いている会社が一時的にもうからなくなっても、国が給付金を出し、生きていくのに困らないようにする」と説明した。
講演後、会場の生徒たちとの質疑では、物価上昇に賃金の伸びが追いつかなければ生活が苦しくなるといった意見が出た。

片山氏は賃金上昇を伴う好景気で乗り切る必要性を訴え、「そうすれば、皆が安心してモノを買える。そのためにも、物価をコントロールできる税金は消費税だ」と説明した。政府が令和9年4月から飲食料品にかかる消費税率を8%から1%に引き下げる方針にも触れ、「日本は消費税率を上げたことはあっても、下げたことは一度もなかった。やってみようと言ったのは私たちだ」と強調した。税率引き下げ分が販売価格に反映されるようにしたいとの考えも示した。
自身の中高時代の学園生活にも言及した。バザーなどでは喫茶店や手芸品の販売を経験したといい、「結構、売るのはうまかった。喫茶店にお客さんを呼び込むのもうまかった。その才能はありました。はい」と述べた。(奥原慎平)