太田晶久、桜木優樹
政府が有識者会議を設置してインテリジェンス(情報活動)機能の強化に本腰を入れるのは、外国勢力による不当な影響工作が日本でも横行していることが背景にある。高市首相にとって機能強化は就任前からの持論で、自民党と日本維新の会の連立合意に沿って具体的な制度設計を進める構えだ。(太田晶久、桜木優樹)
「外国による不当な干渉の防止策の強化、対外情報機能の充実。そういった取り組みをさらに進めていかなければならない」
首相は28日に首相官邸で開かれた有識者会議の初会合でこう強調した。
首相は昨年10月の自民党総裁選でインテリジェンス機能の強化を掲げ、自民と維新が連立政権発足時に結んだ合意にも「国家情報局」や「対外情報庁」(仮称)の創設などが盛り込まれた。
このうち、先の特別国会では「インテリジェンス改革の第一歩」(首相)として国家情報局の創設を柱とする国家情報会議設置法を成立させ、7月末に始動した。同法の審議を通じ、首相は「外国情報機関などによる非公然の工作は、安全保障上の重大な脅威になっている」などとたびたび指摘した。
日本を標的にした不当な介入は、SNS上を中心に多発している。

昨夏の参院選中には、石破政権に批判的な投稿に大量の「いいね」が付き、転載が繰り返されて拡散する事案が発生した。当時の政府高官は、外国による影響工作で日本が狙われていると危機感を示した。
政府が初会合で示した資料では、今年2月の衆院選で、外国からと疑われる不審なアカウントによる投稿例を一定数把握しているとした。今月13日に投開票された沖縄県知事選でも、自民などの推薦候補を批判する投稿が、外国由来とみられるアカウントから行われていた。
この日の会議では、有識者側から「外国勢力の選挙活動への介入が顕著だ」との声が出る一方、影響工作に使われるSNSのアカウントと外国勢力とのつながりを特定することが困難だとする指摘もあった。
政府は、監視態勢の強化やアカウント凍結などの措置を念頭に、年度内に策定する方針の国家情報戦略に基づき、海外からの作為的な偽・誤情報に対抗する効果的な手段についても検討していく考えだ。