高市総理大臣は参議院予算委員会で、簗前農林水産大臣による道路予算の発言に関連して、予算配分の金額に増減があった場合にその理由も公開できないか検討を指示したことを明らかにしました。
参議院予算委員会は、16日から高市総理大臣とすべての閣僚が出席して質疑が始まりました。
午後の質疑

立憲民主党の熊谷裕人氏は簗前農林水産大臣の道路予算に関する発言をめぐり、「国土交通省が所管する社会資本整備総合交付金以外にも、政府できちんと全省庁にわたって調査をするべきだ」とただしました。

これに対し高市総理大臣は「国土交通省が関係者への確認を行ったうえで、簗前大臣からあったのは問い合わせであり、予算額の配分にも影響していないと説明しているため、総点検が必要だとは考えていない」と述べました。
そのうえで「今までも予算配分に関して項目や金額はネット上でも見ることができたが、仮に額に増減があった場合『こういう事情で』と1、2行で備考欄に書けるような形で、公開のあり方を充実させられないかと検討の指示を出している」と説明しました。

自民党の鶴保元沖縄・北方担当大臣は簗前大臣の辞任について「大変不適切で遺憾に思うと同時に、国会開会中にもかかわらず農林水産大臣の交代という事態になったことについて任命責任を重く受け止めてほしい。国会運営に大きな影響を与えており、すべての閣僚は改めて気を引き締め、襟を正してほしい」と指摘しました。
これに対し高市総理大臣は「国会開会中に大臣が交代するという事態を招き大変申し訳ない。任命責任は私にある。新たに就任した武部大臣とともに、みんなで力を合わせて国民のために一生懸命に働かせてほしい」と述べました。
一方、鶴保氏は観光産業について「成長分野としてまだ伸びしろがたくさんあるのに成長戦略の17分野に入っておらず、大変危惧している。高市総理大臣の思いを聞かせてほしい」と求めました。
これに対し高市総理大臣は「観光産業は37兆円を超える市場規模を持ち、自動車産業に次ぐ第2の輸出産業ともいわれる一大産業だ。観光は『地域未来戦略』でしっかり支援するとともに、ことし3月に策定した『第5次観光立国推進基本計画』に基づいて各種施策を着実に推進していく」と述べました。

国民民主党の浜口政務調査会長は消費税減税による影響が懸念される外食産業への支援について「外食産業からはプレミアム商品券や『Go Toイート』のような需要喚起策の要望も出されているがどう考えているか」とただしました。
これに対して武部農林水産大臣は「事業者の実情を確認しつつ、実際に影響を受ける方々に向けた的確な支援を講じることが重要だ。その際プレミアム商品券や『Go Toイート』も含め、そうした取り組みの成果や課題を十分に踏まえながら有効な対策のあり方について検討を深めていきたい」と述べました。
これについて高市総理大臣は「武部大臣からプレミアム商品券や『Go Toイート』も含め、と答弁したので、そのとおりだ」と述べました。
このほか高市総理大臣は今年度の第2次補正予算案を編成する考えがあるか問われたのに対し「現時点で予断をもって申し上げることはしないが、真に緊要性の高い施策があれば編成を検討することはあり得る」と述べました。
午前中の質疑
高市総理大臣は、地元の道路予算に関する発言など、相次いで問題が指摘された簗前農林水産大臣の辞任について参議院予算委員会で陳謝したうえで、内閣が一丸となって重要課題に対応していく考えを示しました。
午前中は立憲民主党の議員が質問に立ちました。

冒頭、高市総理大臣は「任命責任は総理大臣である私にある。国会開会中に大臣が辞任する事態となったことは申し訳なく思っており、任命責任を重く受け止めている」と述べ、陳謝しました。
そのうえで「国会で審議してもらわなければならない法案を含めて、国政上の課題は山積している。後任の農林水産大臣に就任した武部大臣を含めて内閣が一丸となって重要な課題の一つ一つに答えを出せるよう懸命に取り組んでいく」と述べました。

立憲民主党の辻元清美氏は、簗前大臣の辞任をめぐり「高市総理大臣が身内をかばったように見えた。ずるずると決断できず、国会の停滞を招き、国民に政治不信を振りまいた。どのように責任をとるつもりか」と迫りました。
これに対し高市総理大臣は「私には任命責任がある。過去にも大臣が辞任した例は多々あるが、その時には、できるかぎり速やかに後任の大臣を選び、一生懸命、一丸となって国政に貢献するということだと思う」と述べました。
また「簗前大臣は辞任したが、委員会での質疑を聞いてもまだ十分に納得してもらえる説明責任を果たせていない。一議員として引き続き説明責任を果たすことを期待している」と述べました。
一方、簗前大臣の辞任をめぐり、危機管理能力が欠如していたのではないかと指摘されたのに対し、「危機管理能力がなかったと思われたらとても残念だ。24時間、常に公用スマホをそばにおいて最大音量にして夜も横になっている。災害などが発生した時の対処は迅速にやってきており、危機管理に私は力を入れている」と述べました。

立憲民主党の吉川沙織氏は簗前大臣の道路予算に関する発言をめぐり「簗前大臣からの問い合わせが決定に影響力を及ぼさなかったとしても今回のありえない発言は交付金の配分のあり方に疑念を持たれる状況を招き、行政への信頼を失わせることになったのではないか」とただしました。
これに対し高市総理大臣は「信頼を失わせる発言だった。国土交通省で関係者への確認を行い、予算額の配分には影響していないと説明していることは承知しているが、国民に疑念が生じないようにこれからも丁寧に説明させる。予算の配分に政治的な支持や不支持を持ち込まないことは当然で、改めて政府内に徹底する」と述べました。
このほか、高市総理大臣はG7=主要7か国が2日にオンライン形式で開いた首脳会議をめぐり、各国の首脳が出席する中、欠席した理由を問われたのに対し「代理出席も認められていた。私も出席を検討したが、開催時間が直前までわからなかった。回線の接続や設定のために業者を呼ばなければならず、時間が間に合わないということもあった」と説明しました。

就任後初めて予算委員会の答弁に立った武部農林水産大臣は、アメリカが求めている生のジャガイモの全面的な輸入解禁について「病害虫ごとの具体的なリスク管理措置のあり方についてアメリカと協議を詰めていく必要がある。双方が納得できる合意が見いだせないかぎり、輸入が解禁されることはない。きぜんとした姿勢で協議に慎重に対応する」と述べました。
農相交代の経緯は
国会では今週、簗前農林水産大臣をめぐる問題について野党側が追及を強めました。
今週13日と14日の衆議院予算委員会では、野党側が簗氏の道路予算に関する発言や公職選挙法違反の疑いなどを相次いで指摘しました。
高市総理大臣は説明責任を尽くすよう求めていましたが、簗氏はおとといの委員会のあと、「国会審議にこれ以上、迷惑をかけるわけにはいかない」などとして高市総理大臣に辞表を提出し、受理されました。
そして、後任には、農林水産副大臣や自民党の農林部会長などを歴任した武部新氏が起用され、15日農林水産大臣に就任しました。
高市総理大臣は起用の理由について、「農林水産行政に精通しており、即戦力として、国会対応も含めて活躍をしていただけるという考えから選んだ」と説明しました。
武部大臣は就任翌日の16日、参議院予算委員会で、さっそく国会審議に臨みました。
野党 簗前農相の参考人招致を要求 与党 応じない考え
16日朝開かれた参議院予算委員会の理事会で、与党側は簗前農林水産大臣について「急な辞任で迷惑をかけた」と陳謝しました。
これに対して野党側は「異例の事態だ」として抗議するとともに、「説明責任を十分に果たしていない」として簗氏を参考人として招致するよう求めましたが、与党側は応じない考えを伝えました。