Janis Laizans, Stamos Prousalis, Yann Tessier

[パリ 17日 ロイター] – フランス各地で17日、生活費の高騰と公共サービスの質の低下に抗議するデモが一部で暴徒化し、同国で過去数十年で最大規模の暴動に発展した。
生活費の上昇を背景に、ベルギー、ポルトガル、イタリアでも同日、抗議デモが行われた。アルバニアでは、政府の腐敗への不満や雇用不足、教育水準の低さに抗議する人々が再び集まった。
フランスでは数十都市で数十万人が平和的に街頭行進する一方、一部の過激なグループが公共施設を標的にし、高級ブティックやスーパーマーケットを略奪し、警察車両や警官を襲撃した。
中部リモージュでは市庁舎が放火され、マルセイユでは黒ずくめのデモ参加者が市庁舎に乱入して無政府主義的な落書きをし、リヨンでは市の観光案内所が放火された。
ルコルニュ仏首相は、政府は暴力に「屈しない」と表明。騒乱は「極左」と犯罪者によるものだと非難した。
フランスでは2027年に大統領選が行われる予定で、同氏はXに「この暴力を大統領選前の予行演習として利用しようとしている者たちに、はっきり言う。われわれは屈しない。誰であれ、暴力によって政治的な要求を押し付けることはできない」と投稿した。
同氏は夕方に現場を視察した際、抗議行動に関連して約1200人を拘束したと述べた。
ヌニェス内相によると、全国のデモ参加者は約55万人。仏労働総同盟(CGT)はロイターに対し、参加者は80万人と推計していると述べた。
マクロン大統領は、襲撃を実行した者を訴追し、処罰すると表明した。同氏はXに「われわれの制度を損ない、平和的に要求を訴える人々を妨害することだけを狙う、混乱を引き起こす者たちに対し、われわれは一致団結して立ち向かう」と投稿した。
パリのデモ参加者、ローラさん(19)は「私たちが声を上げているのは、生活費の負担があまりに重く、燃料価格が高すぎるからだ。高校生たちは、教員の増員やまともな学習環境を求めて抗議しているだけなのに、全国で暴力的な攻撃を受け、けがをしている」と語った。
<催涙ガス、放火、略奪も>
大半の抗議行動は正午ごろに始まったが、デモの正式な開始時刻より前に始まったものもあった。
パリの一部地区では、警察が若者を中心とするデモ参加者に押されて後退しながら催涙弾を発射した。参加者の多くは黒い服を着て、催涙ガスに備えてフードやマスク、ゴーグルを着用していた。暴徒たちは中心部の百貨店「ギャラリー・ラファイエット」への侵入を試み、銀行や店舗を荒らし、携帯電話会社の店舗を襲撃した。デモ参加者による放火は終日続き、多数の車などが燃やされた。
ベルギーのブリュッセルでは、フランスの抗議行動に触発されたとみられる若者ら数百人がデモを行い、一部が警察と衝突した。ベルギーの学生団体は、教育費の上昇と、高等教育を受けにくくする恐れがある改革に抗議していると説明している。
アルバニアでは、ラマ首相の辞任を求める学生の大規模デモが5日目に入り、警察が参加者に向けてゴム弾とみられる弾丸を発射した。
住宅費やその他の生活費への抗議行動が数日間続いているポルトガルでは、数万人がリスボンの街頭に繰り出した。ポルトガルの住宅価格は2017年以来2倍に跳ね上がり、住宅取得の困難さは欧州でも最も深刻な水準にある。
イタリアでは、ミラノで生活費の高騰に抗議するデモ行進が混乱に陥り、警察は催涙ガスを使用して中心部の大聖堂広場を制圧した。ANSA通信によると、ボローニャでは別の抗議デモが暴徒化し、警察が群衆を解散させるために放水車を使用。7人を拘束した。
<仏警察の対応に批判>
フランスの抗議行動は9月、労働者層が多いパリ北部郊外の高校で始まった。教員不足や施設の老朽化に対する怒りが、格差や公共支出、生活水準を巡る幅広い抗議運動に発展した。
パリでは17日、蛍光ベストを着た抗議者たちが道路を封鎖した。フランスでは、マクロン大統領の一期目も「黄色いベスト運動」と呼ばれる抗議活動が起きたが、今回のデモ参加者数は当時のピーク時の規模を上回った。ただ、23年の年金制度改革反対デモの規模には及ばなかった。
デモ参加者に負傷者が出たことを受け、警察の対応に批判が集まっている。警察の監察機関は、警察による暴力行為の疑いがある少なくとも24件について調査を始めた。
ルコルニュ首相は、17日の抗議活動で150人以上の警察官が負傷したと述べたが、デモ参加者に負傷者がいたかどうかについては言及しなかった。
ヌニェス内相は、17日の警察との衝突で1人が片手を失ったとの報道を確認した。フランスのメディアによると、この人物は閃光手りゅう弾を拾おうとしたとされる。
警察労組UNSAは、複数の場所で群衆がこん棒やれんがを使って警察車両を襲う映像をXに投稿した。同労組は政府に対し、警察は限界に達しつつあると警告した。