
[東京/北京 22日 ロイター] – 世界各国の企業や政府は22日、広く利用されているプログラミング言語「PHP」で見つかった重大な脆弱性の修正を急いだ。サイバーセキュリティー企業によると、脆弱性の公表後に確認されたハッキングの試みは数百万件に及ぶ。
前日の21日には、ウェブサイト運営者がPHPを使うシステムの安全確保に追われる中、欧州などの政府が予防措置としてウェブサイトを停止した。PHPの開発者は、人工知能(AI)によって発見されるまで何年も潜んでいた脆弱性の緊急修正プログラムを公開、利用者に「直ちに更新する」よう呼びかけた。 もっと見る
世界各国で銀行、航空、鉄道、税務、行政のサービスが緊急停止し、公共・企業システムのPHPへの依存度の高さと、脆弱性が明らかになった後に迅速に修正する難しさを示した。
マイクロソフト(MSFT.O)、新しいタブで開きますのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は22日、ドイツのケルンで開いた同社のイベントで「ITやセキュリティーに携わる全ての人にとって、長い一日、長い夜だったと思う。これほどの事態は長らく見たことがない」と語った。
今回の事態は、安全に保守が可能なデジタルシステム構築の重要性を浮き彫りにしたと述べた。
ベルギーのサイバーセキュリティー企業アイキドウ ・セキュリティーの共同創業者、マデリン・ローレンス氏は「修正プログラムの準備が整う前に脆弱性の詳細が公になり、攻撃が報告されている」と説明。「攻撃に備え企業は更新を急いでいる。まさに時間との競争だ」と語った。
クラウドサービス企業クラウドフレア(NET.N)、新しいタブで開きますによると、企業や政府が修正プログラムを適用し、予防措置としてウェブサイトを停止する中、ハッキングの試みは数百万件に急増した。
同社のマシュー・プリンスCEOは21日夜、「公表前の10時間に、当社のネットワーク全体で脆弱性を悪用しようとする試みを数千件確認した」とXに投稿。「公表後45分で数万件、2時間以内に数十万件に跳ね上がり、今では数百万件に達している」とした。
日本では野村ホールディングス(8604.T)、新しいタブで開きます、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)、新しいタブで開きます、ANAホールディングス(9202.T)、新しいタブで開きます、JR東日本(9020.T)、新しいタブで開きますなどが22日、緊急措置の一環として一部のインターネットサービスを一時停止すると発表した。 もっと見る
東京海上ホールディングス(8766.T)、新しいタブで開きますは、グループ会社のウェブサイトを停止したと明らかにした。
財務省と気象庁は安全対策を実施するためオンラインサービスを一部停止し、国税庁もサービスを一時停止した。
予防的な停止措置は、日本でサイバーセキュリティーへの懸念が高まっていることを示している。トレンドAIのデータによると、2026年1─9月に日本で記録されたサイバーインシデントの件数は、25年通年を上回った。
フランスの通信大手オレンジ(ORAN.PA)、新しいタブで開きますは、予防措置として、複数の子会社でPHPを使う一部のウェブサイトやアプリケーションへのアクセスを一時停止したと説明した。
中国のクラウドサービス大手テンセントクラウドは、更新版のPHPを導入するよう顧客に呼びかけたが、広範なウェブサイト停止を求めるには至らなかった。
フィンランドの政府ITサービス機関バルトリは、前日に政府の一般向けウェブサービスを停止した後、夜間もPHPのセキュリティー修正プログラムの適用を続け、予防的なサービス停止を段階的に解除していると説明した。「更新に加えてシステムを慎重にテストする必要があるため、サービスの復旧には数日、場合によっては数週間かかる可能性がある」と声明で述べた。
同機関は、サービス停止は脆弱性の悪用やサイバー侵害によるものではなく、脆弱性が実際に悪用された事例も把握していないと説明した。
アジアの複数の政府は22日、PHPの脆弱性に関連するサイバーセキュリティー点検を指示した。
中国の工業情報省は、組織や利用者にシステムを直ちに点検し、安全性が確保された最新のPHPに更新するよう呼びかけた。また、サイバーセキュリティー監視を強化し、必要に応じてアカウント、パスワード、鍵(キー) を変更するよう勧告した。
韓国はハッキング攻撃のリスク増大への懸念を理由に、民間部門のサイバーセキュリティー警戒レベルを引き上げ、緊急対応措置を発動した。 もっと見る