自民党、日本維新の会、国民民主党の3党幹事長は29日、実務者間でまとめた衆院議員の定数削減方針を了承し、合意文書に署名した。これにより3党合意が正式に成立した。3党は今後、関連する法改正案を国会に提出する予定だ。

この問題を振り返って思うのは、民主主義の根幹に関わる選挙制度の抜本改革を、利害が対立する与野党の国会議員に委ねることには、そもそも無理があるのではないかということだ。同時に、多数決とは何か、民主主義とは何かという根源的な問題にも行き着く。考え始めるときりがなく、頭の中で議論が堂々巡りしてしまう。

これまでの経緯を簡単に振り返ってみよう。

昨年10月、高市早苗政権が発足した。当時、自民党は衆参両院で少数与党だった。公明党が連立政権から離脱したことを受け、自民党は日本維新の会と新たに連立を組み、高市政権が発足した。

この際、維新が連立入りの条件の一つとして要求したのが、衆院議員の定数削減だった。同党は衆院定数465議席の約1割に当たる45議席を、主に比例代表の定数から削減するよう主張。高市首相がこれを受け入れ、連立政権が発足した。

これに対して野党は猛反発した。2月に実施された総選挙後の国会でも十分な審議が進まず、法案の取り扱いは臨時国会に持ち越された。

こうした中、9月30日には衆院議長の下で選挙制度改革をめぐる政党間協議の枠組みが設けられ、10月末をめどに具体的な結論を得る方針が示された。

一方、選挙制度の抜本改革については、政治家以外の有識者で構成する第三者機関を設置することがか政党間で合意され、設置から1年以内に結論を得ることが内定している。

つまり、抜本改革は第三者機関に委ねる一方、当面の改革案は国会議員による協議でまとめるという、二つの路線が採用されたのである。

政党間協議は10月6日に初会合を開き、今後の進め方などを確認した。22日には座長を務める鈴木馨祐氏が31議席削減案を提示。28日に3党の実務者が話し合って合意案をまとめ、29日には各党の幹事長が署名し、正式に3党合意が成立した。

自民党は、10月末までに結論を得るという当初の方針を守った。その一方で、国民民主党は合意に盛り込まれた条件を評価し、31議席削減案を受け入れた。これにより、定数削減法案に反対する野党の共闘体制は事実上、瓦解した。

この流れが良いとか悪いとか、ここで論じるつもりはない。

重要なのは、選挙制度の抜本改革を第三者機関に委ねる一方で、政治家による協議を通じて3党合意が成立したという事実である。今回の合意は、抜本改革が実現するまでの「暫定改革案」と位置付けることができるだろう。

しかし、次の総選挙までに第三者機関による抜本改革案がまとまる保証はない。仮にまとまったとしても、与野党の協議を経て法案が成立するまでには、相当の時間がかかることが想定される。

つまり、今回の暫定案が法制化されれば、当分の間、それが衆院選挙の基本的な枠組みになるということだ。

日本の選挙制度は、かつての大激論の末に、小選挙区制と比例代表制を組み合わせた現在の制度へと改革された。その目的は、政権交代が可能な二大政党制を実現することだった。

だが、現実には二大政党制が定着するどころか、小政党が乱立し、選挙制度の大きな改革すら容易には決められない状況に陥っている。

どうしてこうなったのか。(続く)