
[ワシントン 3日 ロイター] – トランプ米大統領は3日、イスラエルのネタニヤフ首相との合意に基づき、同国への年間40億ドルの支援を今年末で打ち切ると発表した。ただ、中東の緊密な同盟国であるイスラエルへの武器売却は継続するとした。
この日は連邦議会の主導権を左右する中間選挙の投票日。トランプ氏はイスラエル支援の打ち切りについて、イスラエルへの軍事支援を支持する共和党を左派系民主党が攻撃する際の「好都合な批判材料」を取り除く狙いもあると説明した。ただ、米国がイスラエルに年間38億ドルの軍事支援を供与することを定めた覚書(MOU)の期限は2028年9月で、どのような手続きを経て支援を年末で終了させるのかなど、詳細は示さなかった。
イスラエル支援は数十年にわたり超党派の強固な合意に支えられてきたが、今ではその合意は揺らぎ、イスラエル支援が一部の有権者との関係で自身の政治的な重荷になっているとトランプ氏は認めたようだ。一部のアナリストは、トランプ氏の今回の発表について選挙当日のアピールを狙った政治的な戦術との見方を示した。
米国とイスラエルの間では、28年以降の支援の在り方を巡る協議が進められており、ネタニヤフ氏もこれまでに米国の支援は時間をかけて縮小していくとの見通しを示していた。
しかしトランプ氏は、米イスラエル関係の大きな転換となる今回の方針について、既に決断したことを示唆したようだ。両国はイランへの共同攻撃から8カ月余りが経過した今も、同国との紛争を続けている。
トランプ氏の発表について、米ホワイトハウスとイスラエル首相府のいずれもロイターのコメント要請に応じなかった。
トランプ氏はFOXニュースの番組「フォックス・アンド・フレンズ」で、イスラエルはもはや米国の資金支援を必要としていないと説明。「米国はイスラエルに年間40億ドルを供与してきたが、ネタニヤフ首相と私は数カ月前、これを終了することで合意した」とし、「今年末までにイスラエルへの支払いをやめることで既に合意している。ただ、イスラエルが必要とする場合は支援する」と語った。
トランプ氏は同時に、一部の民主党議員や左派政治家が米国によるイスラエル支援を「不公平さの象徴」として利用し、共和党を批判していると主張。自身が対イスラエル資金支援の停止を表明した理由を説明する中で、激戦区の中西部ミシガン州の上院選に民主党から出馬しているアブドゥル・エルサイード氏を名指しし、今回の発言の政治的な側面が強調される格好となった。エルサイード氏はイスラエル支援に反対しており、当選すれば米上院初のイスラム教徒議員になる。トランプ氏は「イスラエルは支援を必要としていないのに、なぜわれわれがエルサイードのような正気ではない連中から非難を浴びなければならないのか」と述べ、「好都合な批判材料になっている」と語った。
世論調査によると、米国民のイスラエル支持はパレスチナ自治区ガザでの戦闘の影響で全体として低下している。
ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・オルターマン氏は「不可解なのはタイミングだ。なぜトランプ大統領は投票日に発表したのか。しかも、米国とイスラエルによるイランへの大規模な共同攻撃が数日以内に行われる可能性があるとの臆測が出ている中で、なぜ発表したのか」と述べた。
共和党のドン・ベーコン下院議員はCNNに「私が本当に懸念したのは、イスラエル側がこの件を知らなかったことだ」と語った。