
[ワシントン 3日 ロイター] – 米労働省が3日発表した雇用動態調査(JOLTS)によると、求人件数が大幅に増加した一方で、解雇件数は約1年半ぶりの低水準に低下した。労働者が転職に強気であることの指標になる自発的な離職件数は約1年半ぶりの水準に増加し、米国の労働市場は引き続き底堅さを維持しているとのエコノミストの見方が裏付けられた。
9月の求人件数は前月比33万3000件増の752万3000件。ロイターがまとめたエコノミスト予想は710万件だった。求人率は4.5%と、8月の4.3%から上昇。失業者1人当たりの求人件数は1.06件と、8月の1.02件から増加した。
8月分は719万件と、当初発表の707万9000件から上方改定された。
ネーションワイドのシニアエコノミスト、ベン・エアーズ氏は「求人件数が失業者数を上回っていることで、賃金に一定の上昇圧力がかかることが示唆されている」と指摘。オックスフォード・エコノミクスの米国担当シニアエコノミスト、マシュー・マーティン氏は「失業者など一部の労働者にとって厳しい状況が続いているものの、あらゆる指標で労働市場の底堅さが示されている」とし、連邦準備理事会(FRB)は最大雇用と物価安定という2つの責務のうち、物価対応に引き続き重点を置くと予想。「FRBは段階的なペースで行動し、今年12月と来年3月の会合で利上げを決定する」との見方を示した。
エコノミストは、国内需要が底堅く推移し、企業収益も堅調なことから、解雇件数は歴史的な低水準近辺にとどまっているとし、米国の労働市場は「低採用・低解雇」の状態が続いているとの見方を示している。一方で、中東紛争の長期化により先行き不透明感が強まっており、企業が新規採用の拡大に慎重になっているとも指摘している。
<解雇件数、25年3月以来の低水準>
9月の求人件数は、教育分野を除く州政府・地方政府部門が10万4000件増と、全体の約3分の1を占めた。民間部門は23万6000件増。中でも専門サービス・企業向けサービス部門が10万6000件増と伸びを主導した。製造業の求人件数が5万4000件増加したほか、AI(人工知能)関連投資の拡大を背景に建設業の求人も3万6000件増加した。一方、金融・保険業を中心とする金融活動部門のほか、医療・社会扶助部門、レジャー・接客部門では求人件数が減少した。
採用件数は13万1000件増の540万2000件。採用率は3.4%と、8月の3.3%から上昇した。
業種別では、宿泊・飲食サービス業が15万8000件増。建設業と小売業でも大幅に増加した。一方、製造業、専門サービス・企業向けサービス業、金融活動部門のほか、連邦政府・州・地方政府部門では減少した。
レイオフ・解雇件数は12万7000件減の164万1000件。2025年3月以来、約1年半ぶりの低水準となる。解雇率は1.0%と、8月の1.1%から低下した。
減少は幅広い業種に及び、医療・社会扶助部門で特に大きく減少。運輸・倉庫・公益事業部門や、専門サービス・企業向けサービス部門でも減少した。一方、建設業では大きく増加した。
自発的離職者数は32万1000件増の336万5000件。25年3月以来の高水準となったほか、増加幅は23年5月以降で最大。自発的離職者数の増加は、労働者がより良い職を見つけられると自信を持って退職していることを示し、労働市場への信頼感や賃金上昇圧力の高まりを示唆する指標と見なされている。
JOLTSは回答率の低さが問題となっており、回答率は新型コロナウイルス流行前と比べて大幅に低下している。
