
[ワシントン 4日 ロイター] – バンス米副大統領は4日、Xへの投稿で、トランプ大統領が進めた対イラン戦争との距離を置く姿勢を示し、その意義に疑問を呈するとともに、中間選挙で野党・民主党に議会支配を許した有権者の厳しい審判は全面的にイラン戦争に原因があったとの認識を示した。
バンス氏は「われわれが(中間選挙で)敗北した理由は戦争だ」とし、「それでも、戦争には価値があった、今後6年間にわたり上院(の多数派)を失う代償を払うだけの価値があったと主張したいなら、そうすればいい」とXに投稿。過去に戦争終結を勧告したことについても「妥当な助言だった」とした。
3日投開票の中間選挙では、民主党が連邦議会上下両院の過半数を奪還。共和党の牙城にも食い込んで幅広い勝利を収め、有権者がトランプ大統領に厳しい審判を下した形となった。トランプ大統領が対イラン大規模軍事作戦の再開を検討する中、バンス氏が中間選挙の翌日にこうした異例の投稿を行ったことで、政権の判断が一段と複雑になる可能性がある。
この発言は国防総省高官、とりわけヘグセス国防長官の政治的立場にも疑問を投げかける。トランプ氏はヘグセス氏について、早い段階から戦争を支持していたと説明している。ヘグセス氏は議員からも厳しい批判を浴びている。
2024年の大統領選でトランプ氏を2期目に押し上げた保守地盤の有権者も民主党側へ大きく傾いた。背景には対イラン戦争への強い不満に加え、高止まりする生活費への不安など、トランプ政権の国政運営に対する不満があると見られる。
バンス氏はトランプ氏との見解の相違を小さく見せようと努め、トランプ氏自身もイラン戦争が中間選挙での共和党敗北の一因だったと認めていると指摘。ただ、トランプ氏の発言はより抑制的で、イラン戦争は敗因の1つにすぎないとの見方を示している。
トランプ氏はバンス氏の発言について記者団に問われ、良い発言だったとの考えを示し、「彼がどう感じているかは分かっている」と述べた。一方で、「われわれはイランによる核兵器の保有を阻止した」と述べ、戦争を擁護した。
ホワイトハウス顧問はロイターに対し、一部の当局者や職員はバンス氏の投稿を、外交政策を巡って大統領との一線を画し、戦争が国内経済に影響を及ぼしたと公に認めるものと受け止めたと語った。
<28年大統領選>
バンス氏は、2028年大統領選の有力候補と目されている。バンス氏の対抗馬となる可能性があるルビオ国務長官は、中間選挙以降、沈黙を守っている。
事情に詳しい人物は、バンス氏の発言は28年大統領選に向けた選挙運動の始まりと受け止めることもできると述べた。
ホワイトハウスの一部当局者は、バンス氏の投稿について事前に知らされていたと述べた。ただ、ホワイトハウス当局者の1人はロイターの質問に対し、ホワイトハウスの高官は、全員とは言わないまでも大半が不意を突かれたと述べた。
選挙後にイラン戦争が再燃するとの懸念がある中、仲介者らは終結に向けた取り組みを強めている。
バンス氏はここ数週間、イラン政府との交渉に一段と力を入れている。ただ、イラン側には、ウラン濃縮度をゼロに引き下げることなど、米国の要求を受け入れる意向を示す動きはほとんどない。