経済財政諮問会議は昨日の会合で「骨太の方針2018(仮称)」の原案を取りまとめた。今月中に閣議決定される。内容は多岐にわたる。それぞれに様々な課題がつきまとっている。そんな中で気になったことが一つある。財政をめぐる政権内部の対立だ。財政の健全化を目指す増税推進派と景気の持続的拡大を目指す増税慎重派の対立である。断っておくがこれは与党と野党の対立ではない。与党内部の対立である。この対立は国会における与野党の対立よりも深刻にみえる。言いかえれば国会で議論する前に決着がついている。財政健全化が圧倒的に多い野党の論戦よりも、議論の質は陰湿といえるかもしれない。対立の時間軸も継続的で持続的な気がする。そして今年の骨太方針では景気派が勝利を収めたように見える。
ひょっとすると来年に予定されている消費税の10%への引き上げは見送られる可能性があるかもしれない。それほど景気派の言い分、言いかえれば財政健全化の先送りが黙認されている。ロイターによると今年の「骨太の方針」の特徴は、「社会保障費を年間5000億円程度の増加ペースに抑制するという目標値がなくなり、それに代わる数値も盛り込まれなかったことだ」と指摘する。本格的な高齢化社会に突入するにあたり、社会保障費は増える一方だ。これに歯止めをかけるために経済財政諮問会議では社会保障費に上限を設けて財政健全化に向けた政府の姿勢を明確にしてきた。来年に消費税の引き上げを控えた今年の方針ではその上限が撤廃された。社会保障費はいくらでも積み増せるということだ。
上限をなくしても税収が増えるわけではないから、積増し分は国債を増発する以外に資金を手当する方法はない。そのために財政の健全化は先送りする。プライマリーバランス(PB)の達成時期が先送りされたが、今年の骨太方針はそれに輪をかけて積極財政への道を示唆しているようにみえる。財政健全化をめぐる争いはEUの最大の対立点である。英国がEU離脱に舵をきり、今またイタリアが反EUの連立政権を誕生させた。EUを見ればわかるが、財政の健全化は国内の対立を煽る。これに対して財政再建の先送りは健全派の批判を招く程度の影響にとどまる。安倍政権はそこを熟知しているのだろう。一部メディアや野党の強硬な反対論を無視して、景気の持続的拡大にひた走る。かくしてEU内部で表面化している深刻な対立は、日本では回避されている。