[ワシントン 29日 ロイター] – 米商務省が29日発表した5月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比で2.3%上昇し、2012年3月以来6年2カ月ぶりの大幅な伸びとなった。

4月は2.0%上昇していた。

米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安としている変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は2.0%上昇し、12年4月以来の大幅な伸びとなった。6年ぶりにFRBの物価目標である2%に届いた。4月は1.8%上昇していた。

前月比ではPCE価格指数が2カ月連続で0.2%上昇。コア指数は6カ月連続で0.2%上昇だった。

PCE価格指数の伸びを受けてもFRBは徐々に金利を引き上げる政策を変えないとみられる。政策当局者らは物価が目標を一時的に超えても大きな懸念事項ではないとの見方を示してきた。

ムーディーズ・アナリティクス(ペンシルベニア州)のシニアエコノミスト、ライアン・スイート氏は「年内あと2回の利上げは引き続き適切であることから、今回の結果でFRBが一段とタカ派的になるとは考えにくい」と述べた。

FRBは6月中旬に今年2度目となる利上げを決めた。また、18年末までにあと2回利上げする見通しを示した。失業率が3.8%と低水準にあることなど、労働市場は引き締まっており、物価押し上げの一因となっている。

5月の個人消費支出は前月比0.2%増と、市場予想の0.4%増を下回った。4月は当初発表の0.6%増から0.5%増へ下方改定された。個人消費は米経済の3分の2以上を占める。5月は光熱費への支出が減り、全体を抑制した。自動車などの耐久財は0.1%増。非耐久財は0.4%増。ガソリンの値上がりを反映したとみられる。サービスは0.1%増加した。貯蓄が増えたことで個人消費が抑制された面もある。

インフレ調整後の実質消費支出は前月から横ばい。4月は当初発表の0.4%増から0.3%増へ下方改定された。実質消費支出の弱含みを受け、エコノミストらは現段階で高水準に設定している第2・四半期の個人消費支出予測を引き下げる可能性がある。個人消費支出は第1・四半期に年率換算で0.9%増と、5年近くぶりの弱い伸びとなった。17年第4・四半期は4.0%増だった。

好調な労働市場と、1月から発効した減税政策の影響で個人消費は勢いづいている。経済活動は第1・四半期に軟調だったものの、最近の貿易などの統計は、景気が第2・四半期に活気づいたことを示唆する。第2・四半期国内総生産(GDP)の予想値は現段階で最高5.4%増。第1・四半期GDPは2.0%増だった。

5月の個人所得は0.4%増。4月は0.2%増だった。賃金は5月に0.3%増。貯蓄は4820億ドルと、4月の4480億ドルから増えた。貯蓄率は3.2%と、4月の3.0%から上昇した。