• 五つ星運動と同盟はGDP比2.4%で合意を確保、守旧派に打撃
  • トリア財務相はEU基準達成のために支出の抑制を目指していた

  イタリアのディマイオ、サルビーニの2人の副首相が、ポピュリスト政党の選挙公約実現に向けた争いに勝利したことで、エスタブリッシュメント(既存勢力)は打撃を被った。

2人の副首相は27日夜、2019年予算の財政赤字目標を国内総生産(GDP)比2.4%に設定することで政府の合意が成立したと発表した。選挙公約実行を迫る圧力が、国家財政を危険にさらし、欧州連合(EU)の財政赤字基準違反を招くと懸念する金融市場にとって、今回の数字はリトマス試験紙と見なされていた2%を上回る水準だ。

ディマイオ副首相、Photographer: Alessia Pierdomenico/Bloomberg

この目標はトリア財務相とマッタレッラ大統領にとって痛手だ。両氏はディマイオ氏率いる反エスタブリッシュメント政党「五つ星運動」と、サルビーニ氏が書記長を務め、移民排斥を訴える「同盟」が手を組んで6月に発足した連立政権の極端な衝動を抑制することを目指してきた。

ジョンズ・ホプキンス大学のエリク・ジョーンズ教授(国際政治経済学)は今回の合意について、「トリア氏の敗北だ。債務はGDP比で増加し、政府は予算編成で圧力を受ける」と述べた。

財政赤字目標は政府が10月半ばまでに欧州委員会に提出し、承認を得なければならない19年予算案の大枠を定める。五つ星と同盟は来年5月の欧州議会選挙を控えて支持を高めるため、財政負担の大きい選挙公約を実現したいと望んでいる。

トリア財務相は、財政赤字がGDP比2%を超えるのは「タブーではない」と今週語ったディマイオ副首相と特に対立。伊紙ソレ24オレによると、トリア財務相はマッタレッラ大統領から慰留され、辞任しないと決めたという。ANSA通信によれば、マッタレッラ大統領は27日夜にコンテ首相とも話したという。
原題:Italy’s Deficit Tussle Highlights Growing Strength of Populists(抜粋)